読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「危機に立つ東大」

2020年03月16日 | 日記
 石井洋二郎(ちくま新書)

 タイトルに東大とあるけど、大学全体に関わる話です。もっとも、東大の内部での検討や推移などが書かれているので、そのつもりで読んだ方が良いかな?
 最近の話題の、高等教育のお話で、「文系学部廃止問題」など、含蓄が深いので参考になりました。著者が仏文の先生だからでしょうね。

 内容紹介は
『大学という場が危機に直面している。日本のリーディング大学である東大においても、秋季入学への移行、英語民間試験の活用といった問題をめぐって目的と手段の逆転した議論が進行し、本来あるべき思考の筋道が見失われている。制度改革をめぐる混乱がここまで尾を曳いたのは、日本社会を透明な霧のように包む「諦念」や「忖度」の空気が、大学という学問の府にまで浸透してしまったせいではないだろうか。本書では、教育・入試制度改革の 末と問題に至った経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。
目次
序章 諦念の時代
第1章 秋入学問題
第2章 文系学部廃止問題
第3章 英語民間試験問題
第4章 国語記述式問題
終章 大学の使命

著者について
1951年生まれ。中部大学教授・東京大学名誉教授。専門はフランス文学、フランス思想。15年から19年春まで東京大学理事・副学長をつとめる。91年、ブルデュー『ディスタンクシオン』(藤原書店)の翻訳により渋沢・クローデル賞、01年『ロートレアモン全集』(筑摩書房)で日本翻訳出版文化賞・日仏翻訳文学賞、09年『ロートレアモン 越境と創造』(筑摩書房)で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『フランス的思考』(中公新書)、『時代を「写した」男ナダール 1820-1910』(藤原書店)、共著に『大人になるためのリベラルアーツ(正・続)』(東京大学出版会)などがある。    』

・・・日本の大学は、西洋文明を取り込む窓口として機能してきたから、まさに『役に立つ』学問だったし、明治時代のエリート養成機関としての役割もあったので、当時の社会的要請もあったと思う。今はもう”学術の中心”としての存在で、独自に活動できるまさに「独立」法人だものね。しかし政府の補助金がらみの押しつけ政策がまかり通ると、安西先生じゃあないけど、国立大学ではなく、”国策”大学になってくるね(文脈は全然ちがう。言葉だけお借りした)。おバカなな時代になったものだ。大学関係者にお勧めです。
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