太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

試行錯誤

2023-07-11 07:56:28 | 絵とか、いろいろ
カイルアにある川の橋からの風景を創作中だ。
横が45センチぐらいの楕円形のキャンバスで、まあまあ調子よくおおまかに空ができ、山ができて、全体の仕上げは川をやってからと思い、しかし川にさしかかったときから時が止まっている。

川面の表現が、うまく湧いてこない。
実物を見に、何度もカイルアに足を運んだ。
川面の色は、緑にも見えるし、濃いグレーにも見えるし、空を映して青にも見える。
風景といっても、写真ではないので、必ずしも実物どおりでなくてもかまわないのだけれど、いつもは湧いてくるイメージすら、出てこない。

緑の紙を、おいてみた。
全体が緑すぎて、全然しまらない。
貼った紙を剥がして、暖かいグレーをおいてみるが、これもだめ。

仕事をしていても、頭の中からキャンバスが離れない。
寝たら寝たで、夢にもみる始末。
コラージュを始めたばかりの頃、スーザンが、

「構図や使う紙が決まらなくて夢に見ること、よくあるわよ」

と言っていたことがあったが、その通り。
コラージュは、染めた紙を選んでキャンバスに貼るので、色を作って筆で描くようにはいかない。
構図は決まっているのに、紙を選ぶのに何日もかかったりする。
コレ!という紙が見つかったときは、ほんとにスムーズに進む。


10日ほども作業が止まったままで、これは他の人の意見が必要だと思い、休日にコリンに会いに行った。
コリンは、作品をスキャンしたりしてくれる技術者だが、彼自身もアーティストなのだ。
コリンはしばしキャンバスを眺めて、言った。

「山の影をおいて、空の青を水面に映してみたらどうかな」

私が撮った写真の中に、確かに川面に山の影が映っているものがあった。

急いで家に戻り、作業開始。
貼っては剥がすこと、数回。



これは濃すぎる。濃すぎて、本物の山を食っている。
そしてまた、停滞。
いつ、ここから出られるのか見当もつかん。







Iam Tongi

2023-07-10 06:51:08 | 日記
2023年の、America's got talent で優勝した、Iam Tongiはハワイ出身だ。
全国的な番組にハワイの人が出たというだけで、田舎は大騒ぎ。
次々と勝ち残って、ますます大騒ぎ。
しかも、うちの村と同じ地域の村出身というので(3つ隣の村)、親近感がわくことこの上ない。
さらに、番組が始まる数か月前に、彼に音楽の影響を与えた父親が亡くなったというので、中高年の心をわしづかみ。

America's got talent は、夢を持った人たちがキラキラと輝いて出てくるので、好きな番組のひとつだ。
審査員に選ばれたあとは、投票制で勝者が決まるようになっているのだが、離島のハワイは時差があるから、ハワイで番組を見るときには既に投票は終わっているという情けなさ。
だから、投票したくても、したことがなかったのだけれど、今回だけは違った。
本当はいけないのだが、仕事中に同僚とコソコソと目いっぱい投票した。
彼が勝ったときは、同僚と

「私たちの入れた票差だね!」

とハイタッチ。


実は彼は今、シアトルに住んでいる。
父親の治療のために移住したのだが、Price out で、そのままシアトルにいる。
Price outとは、生活費が高すぎて暮らしが成り立たないので、そこを離れるという意味である。
シアトルに住み始めた頃は、彼の異色な容貌は目立ち、居心地が悪かったという。ハワイでは、彼のような人はたくさんいるけど、都会では違うのだな。

故郷へ錦を飾る、の言葉どおり、にぎやかな野外コンサートがあったり、パレードをしたり、しばらくは彼の話題で持ち切りであった。
彼が歌手として成功を収めることを心から祈る。

ちなみに名前の Iamは、Williamの最後の3文字。
アイ アムとも読めて、いい呼び名だと思う。



日本語の「ん」

2023-07-09 11:23:24 | 英語とか日本語の話
職場に、ようやく日本からの旅行客が増えてきた。
パンデミック後に入社した従業員たちは、日本人と間近に接したことがない人ばかりで、なにかと興味深いようである。
昨日、同僚がやってきて言った。

「ねえ、日本人が 『ん』 って言うのはどういう意味?」

何のことを言っているのかわからなかったので、たとえばどんな状況で?と聞いた。

「これがコナコーヒー100%で・・と説明すると、『ん』、あちらにナッツがあってと言うと、『ん』」

ははぁ、相槌のことか。

「それはね、私はあなたのいうことを聞いてますよ、という意味なんだよ」

「わーお!そうなんだあ!」

「日本人は会話の中で、よく使うよ。話を聞きながら、うんうん、へえ、ってね」

「なるほどー」

英語圏の人も、ときどき「ア、ハン」なんて相槌を打つことがあるけど、だいたい黙って聞いていることが多い。
これが電話だと、ずっと黙ったままで不安になることもある。
夫が電話で誰かと話しているときも、しばらく静かなので電話は終わったのかと思うと、ただ黙って聞いているだけ。

「日本人て、おもしろいね」

同僚は嬉しそうに言った。
ええ、あなたたちもね・・・・

こうして、当たり前すぎて気づかないことに気づかされる。


家に入る職人さんたちに

2023-07-08 07:03:22 | 日記
ここのところ、近所の家々が家に手を入れていて、日中は賑やかだ。
昨日から向かいの家が、家全体の窓枠を取り換えるという作業に入っており、職人さんたちが来ている。
だいたい、音楽を聴きながら作業することが多いのだが、彼らは大きな声で歌いながら仕事をしている。
何の歌か知らないが、立派な歌い方で、おおらかな声が響いてくる。


子供の時分、家に職人さんが入る時、母や祖母はお茶菓子の心配をした。
夏なら冷たい麦茶、冬なら熱いお茶、お昼時にはお弁当を広げる職人さんたちにお茶を出し、10時と3時には甘い物を出す。

「昨日はどら焼きだったから、今日はおせんべいにしようか」
「今日は若い人が来てるけど、餡子なんか食べるんだかどうだか。あんたちょっと何か若い人が好きそうなもの、買ってきてよ」

そうして使いはしりをすることもあった。

そういう風習は日本だけなのかと思っていた。そう思う理由はないけれど、なんとなく日本ぽいように思う。
9年前に、我が家を建てたとき、義両親はまだ仕事をしていたし、私たちも仕事で家にはあまりいなかったから、ガレージだけあけておいて、勝手に入って仕事をしてもらっていた。
シュートメが在宅のときに、何か出していたのか記憶にない。


夫が職人さんの立場になって、日本と似たようなことはあるものなのだということがわかった。
オーナーが家にいても、何も関与しないこともあるし、お昼にピザをとってくれる家もある。今、夫がいる現場では、オーナーは留守だが、隣家の人が親切で、ピクルスを漬けたからといって持ってきてくれたり、氷を差し入れてくれたりするのだそうだ。

なんかそういうの、いいなァ。



年内に、義両親側の家を増築する予定がある。
ただでさえ部屋が有り余っているのに、これ以上増やしてどうする、て話なんだけど、
現在、義両親の主寝室が2階にあり、いずれ階段の上り下りがおぼつかなくなるであろうという予測から、1階のゲストルームを改造したうえに広くして主寝室にしようということなのだ。
最初のプランでは、エレベーターを設置するつもりだったのが、図面と完成予想図ができてみたら、シュートメの

「Ugly(醜い)」

の一言で却下。
階段の手すりに取り付ける、椅子型の昇降機か手軽でいいんじゃないかと言っても、それも「醜い」からダメ。
で、結局、増築ということになったのだ。
我が家を建てた会社に、再び頼むことになった。
あの時は、シュートメが工期の矢の催促、何かといっては電話をしてくる、で、ベテランの監督さんが(女性)、うちの夫に、

「あなたのお母さん、ほんと、かなりのもんね・・・」

と、引き渡しのときにこぼしたという。
またあの家かよ!と先方では誰が担当するかがたらい回しになったのではと想像する。ごめんねー。
工事が始まったら、休みで家にいるときにはお茶菓子を出そう、と思っている。






猫の性格

2023-07-07 06:45:17 | 日記
仕事の日の朝は、4時45分に起きる。
が、たいていその前後に猫に起こされる。コーちゃんが来る前は、チーズケーキのガールが起こし役で、今はもっぱらコーちゃんが担当。

今朝、珍しくチーズケーキのガールに起こされた夫が、朝ごはんをあげに階下に降りていった。
少しして戻ってきて、言った。

「コーちゃん、出すの忘れてた!」

コーちゃんは、昨夜から階段下のクロゼットの中に閉じ込められたままだった・・・

ことのあらましはこうである。
とにかく、無類の食いしん坊のコーちゃんは、料理中にシンクに飛び乗る、盛り付けた料理を食べようとする、テーブルに乗る、で何も手に着かなくなるので、料理中と食事中はクロゼットに入れておくことがある。
そのクロゼットは、コーちゃんの食事をする部屋でもある。
というのも、チーズケーキ達と一緒に食べると、自分の食べ物よりも先に彼らの分を食べてしまうからで、チーズケーキ達は怒るでもなく眺めている。
だから、別々の部屋でなければならないのだ。

昨夜、夕食のときにコーちゃんをクロゼットに入れ、そのまま忘れて寝てしまったというわけ。
それから10時間、ずっと真暗なクロゼットにいたなんて、気の毒すぎる。

夫がドアを開けたら、コーちゃんは、猫用キャリーケースの中で寝ていたそうだ。

「怒ってた?」
「ぜんぜん。ゴロゴロ喉を鳴らしてたよ」

何度も謝って、お詫びにちゅーるをあげた。

私が猫と暮らすのは、彼らが初めてなのだけれど、猫は拗ねたりするものなんだろうか。
私だったら、拗ねまくり、怒って、口もききたくないだろう。
チーズケーキ達も、コーちゃんも、うっかり尻尾を踏んづけてしまっても、すぐに心を込めて謝れば許してくれる。
旅行で長らく家をあけても、いつもと変わらず迎えてくれる。


コーちゃんが家に来た時、いきなりチーズケーキ達に会わせるわけにもいかないので、ケージに入れて、一晩ガレージに置いた。
それまでコーちゃんを預かってくれていた人が、コーちゃんがお気に入りのベッドを置いていってくれた。
それはこげ茶色の丸いボール型で、穴があいていて、その中にすっぽり入って眠るのだそうだ。
夜の間、ひとりでガレージで寂しくはないかと気が気でなかった。

翌朝、コーちゃんを見にガレージに行き、声をかけると、その茶色いボールの中からヒョッコリと出てきた、コーちゃんの小さな顔が忘れられない。
今でもそのことを思い出すと、涙が出そうになるほどだ。


昨夜はクロゼットであまりよく眠れなかったのか、ぐっすり眠っているコーちゃん。

やさしく穏やかな性格で、ありがとう。