印象的なコマーシャルが流れている。
電話の呼び出し音が鳴る。
「ミセス ロングですか?」
「はい」
「あなたが養子に迎えたいとご希望の、女の赤ちゃんがいるのですが、彼女についてお話しなくてはならないことがあります」
そんな会話で始まる。
「彼女はシベリアにいます。でも生まれつき、両足に問題があって、両足の一部を切断しなくてはならなかったのです。
彼女の人生は、平坦なものではないでしょう」
それを受けて、ミセス ロングは言うのだ。
「確かに、平坦な人生ではないでしょうけど、だけど、きっと素晴らしいものになると思うわ。
その子に会うのが待ち遠しいわ!」
ジェシカ・ロングはパラリンピックの水泳選手だ。
両ひざの少し下から脚がない。
ジェシカはとても美しく、輝いている。
自分の子供であっても、両足の一部がない子供を育てるのは並大抵ではないと思う。
養子なら、その子供を選ばない、という手段もあったのに、そうしなかったロング夫妻の心の深さに、私はただ圧倒される。
それは私には到底たどり着けない高い山。
夫妻の愛に包まれて、ジェシカは明るく強く育ち、水泳選手になった。
パラリンピックも見逃せないと思う。
ジェシカを見たら、ロング夫妻を見たら、私は泣くだろう。
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