ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

ケアマネジメントの支援プロセスとソーシャルワークの支援プロセス

2008年10月30日 | 社会福祉士
 数年前の大震災の際に、私は大学院生と一緒に、震災後にケアマネジャーやソーシャルワーカーは震災の直後にいかに関わったかを学ぶために、現地に一週間ほど入り、調査をしたことがあった。その時に、大変気になり、づっと「なぜだろう」と思っていたことがあったが、理論的に心のなかで整理できたので、書き残しておきたい。

 調査の結果、ほぼ全てのケアマネジャーは利用者の自宅に赴いたり、家族、民生委員、ヘルパー、病院等からの連絡を受けることで、翌日には利用者の所在を確認できていた。その後、利用者のニーズの変化に合わせて、非難所から施設や病院入所・入院、在宅サービスを非難所で実施等を行っていた。利用者の状況の変化に合わせてモニタリング機能が発揮できたことになり、ここから再アセスメントにより、ケアプランを変更させていくことになる。

 一方、公立病院に所属していた数名のソーシャルワーカーはケガなどで病院を訪れる多数の患者さんに対して、重度者を優先して治療するためのツリアージャー(仕分けをする人)の役割をされていたという。その時に思ったことは、ソーシャルワーカーはなぜ相談を受けている人へのモニタリングをしないのかということであった。これらのソーシャルワーカーは特異な例かもしれないが、なぜなのかが心の中でづっとしこりとして残っていた。

 これについて、最近ソーシャルワークに関するアメリカの教科書を読む中で、ソーシャルワーカーが取った行動の背景が納得いく道筋がでてきたように思った。

 教科書では、ケアマネジメントでのプロセスは図1であるが、ソーシャルワークのプロセスは図1と図2の場合がある。

   

 これを一人の利用者を対象とした場合、図1にでは、モニタリングを強調しており、継続した支援が基本である。一方、図2は情報提供や援助計画を実行することで終了し、また困った時は来所を待っているという支援である。

 公立病院の医療ソーシャルワークがしかりのように、ソーシャルワークは図2のプロセスで支援してきたが、ケアマネジメントもソーシャルワークの一機能である以上、図1のプロセスでの支援が必要な利用者もいるのではないかと考える。図2のプロセスを行うことになると、援助計画を立てて修正していくといった「planed change」が強調されることになる。ソーシャルワークは、人のニーズの違いにより、図1で対応する人と図2で対応する人があると言える。これを峻別する基準があると思われる。9月27日のブログが参考になるかもしれない。

 一方、ケアマネジャーの議論で述べてきたことであるが、現在介護保険制度では、特定高齢者、要支援者、要介護者の全てに対して図1に対応をしているが、殆どの特定高齢者や一部の要支援者等は図2で対応することが効果的・効率的であると考える。ここで強調しておきたいのは、介護の必要度とケアマネジメントの必要度は一致しないということである。これについては、9月27日のブログ「ケアマネジメントを必要とする人と必要としない人の基準」で、ケアマネジメントを必要としない人についての基準を書いているので、参考にして欲しい。

 ここから、公立病院でのソーシャルワーカーが行っていた行為が納得でき、私なりのソーシャルワークのあるべき支援過程が整理できた。

最新の画像もっと見る