ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

教科書づくり雑感(2)

2009年09月08日 | 社会福祉士
 (社)日本社会福祉士養成校協会の会長になってからは、教科書づくりに対する意識が変わってきた。以前は、教科書づくりを依頼されると、岡村重夫の言葉が頭にこびり付いており、義理人情という気持ちでお引き受けすることが多かった。しかしながら、最近は、居直っており、教科書は優秀な社会福祉士や介護福祉士を養成する最たる教材であり、ここに力点が置くことも必要であると思っている。

 そのため、理想の姿は、一方で、一人ひとりの研究者は自らの関心ある研究を行い、他方は、その研究成果と他の研究者の研究成果を加えて、教科書づくりに関わっていくことが求められるのではないかといえる。この前者を疎かにするなというのが、岡村重夫先生の忠告であると、拡大解釈をしている。

 社会的に認められた研究成果を普及させていくことで、研究が実践につながっていくことになる。このことは、研究と実践を常にフィードバックしていくとする社会福祉の目的を果たす一つの手段にもなることができる。

 ところが、この教科書づくりに伴い、盗作や剽窃の類が増えたことは確かである。ある剽窃事件があった時に、岡村重夫先生は、「社会福祉は教科書づくりばっかりやっているから、こういう問題が起こるんだ」と憤慨していたことを想い出す。確かに、自ら行ってきた研究をもとめる論文や著書ではこうしたことは起こりにくいが、教科書づくりでは、起こり易いことを肝に銘じて、監修・編集、さらには執筆を行う必要があると思っている。そのため、死ぬ時とは言わないが、せめて研究の完成が間近な研究者に執筆してもらうことが大切であると思う。逆に、教科書ばかり書いている人に、教科書の執筆を依頼してはならないということになろう。

 もう一つ、社養協の会長として、最近思うことがある。現在、社会福祉士や介護福祉士では、基準となるシラバスや国が決めた出題基準がある。これにより、国家試験での出題の範囲が決まってくる。今年度の試験は、新しい出題基準で行われることになっている。このシラバスや出題基準は定期的に見直しをしていく必要があるが、その時に、教科書の中味等の変化がベースになる出題基準さらにはシラバスの変更議論が行われることが、本来の姿ではないかと思っている。

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