ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

韓国の社会福祉士の課題

2008年10月18日 | 社会福祉士
 先日岡山県立大学で開催された日本社会福祉学会で「ソーシャルワーカー養成教育での改革と今後の課題」をテーマにして、日韓学術シンポジウムを行った。韓国社会福祉学会会長で梨花女子大学の韓仁永(ハン インヨン)教授と同学会の総務委員長で梨花女子大学のチョンインシュク教授が韓国側のスピーカーであった。私はコーディネーターを務め、牧里毎治先生(関西学院大学)が日本側のスピーカーとなっていただいた。

 韓国の社会福祉士が直面している課題は日本と極めてよく似ていると思った。そこで、現状での問題点を整理し、両先生の課題解決の考え方を紹介しておきたい。

 韓国では、1997年に国家試験が導入され、この試験を受けて合格した1級社会福祉士が現在約7万2千人おり、他に2級が17万人、3級が1万人いる。1級社会福祉士が日本の社会福祉士に相当する。韓国では、インターネットによるサイバー大学等が急増し、社会福祉士の人数も急増し、質の低下が懸念されている。給与も低く、離職率も高いと言う。

 韓先生は、改革の方向として、①教科内容の基準化や専門職大学院の活性化、②実習教育制度の強化、③文化の多様性の理解を促進、④資格取得要件の強化、⑤資格取得後の生涯学習システム、⑥1級社会福祉士から細分化された専門社会福祉士の志向、を挙げている。

 チョン先生は、児童福祉分野の研究者であるが、改革の方向は、第1には、1級社会福祉士から専門性の高い「児童専門社会福祉士」の創設を提唱している。第2には、1級社会福祉士の免許更新制度でもって、質的な管理をしていく。なお、2007年に「社会福祉士補修教育関連法」が作られ、2009年から、資格取得後の補修教育を受けることが義務化されることになっている。第3は、賃金体系の改善等でもって、勤務環境を改善していくことである。

 これらの発言内容は、日本の社会福祉士が直面しており、ここから脱皮していく方向が極めてよく似ており、学ぶべきことも多い。同時に、一緒にスクラムを組んで、進むべき方向付けを議論することは意義がある。


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