ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

ケアマネジャーの仕事を楽しいものにしよう

2008年05月30日 | ケアや介護
 ケアマネジャー向けの講演会に行くことが多いが、そこでまず言われることが、以前に比べて「おもしろくなくなった」という意見が多い。おもしろくないことは、私も十分承知している。そこで、講演では、どうすれば「おもしろい」仕事に戻れるかということが話しの中心になる。

 ケアマネジャーがおもしろくなければ、そのケアマネジャーを介してサービスを利用している高齢者やそのご家族にはご迷惑をかけることにはならないかと案じるし、おそらくケアマネジャー以上におもしろくないことになっているのではと想像する。その意味では、再度、おもしろい仕事に戻す必要がある。

 このおもしろくないことになったのは、とりわけ改正介護保険以降であり、介護予防ケアマネジメントが導入された以降であり、介護予防ケアマネジメントがおもしろくないと考えられる。この介護予防ケアマネジメントは確かに介護報酬が1ケースに対して1ヶ月400単位と低く、さらにケアマネジャーの場合は、その上地域包括支援センターに一部報酬を献上する(指導なり、支援の費用も言えるが、適切な指導や支援がなされていない場合には、文字通りピンハネ、適切に実施されていれば、指導・支援費)ことになる。しかし、おもしろくない理由は、一部あったとしても、介護報酬が安いことやピンハネされることが主要な理由ではないと思える。

 それは、利用者の足に靴を合わす仕事から、靴に足を合わす仕事に戻ったからではないかと考える。これは、介護予防というよりは財源抑制のあおりを食って、あるいは財源抑制の使者として、予防のケアプラン作成をしていることから、起こっているのでないかと分析する。

 この「おもしろくない」状態を打破していくためには、再度足に靴を合わすというケアマネジメントの原点に戻ることが大切である。同時に、予防という美名のもとで、サービスのメニューや量を減らすのではなく、予防という視点で、利用者の能力や意欲といったセルフケアを可能な限り活用していくことを考慮して、必要なサービスを提供していくことが求められているのだと考える。

 これは、ケアマネジメントの最も基本である、利用者のニーズに合わせた支援をすることであり(ニーズ・オリエンテッド・アプローチ)、既存のサービスに合わせて支援することではない(サービス・オリエンテッド・アプローチ)ことを、再度確認することである。その上で、例えば、要支援での週1~2回のサービスでは、セルフケアを活用してもなおかつ利用者のニーズを満たし得ないとすれば、それは、ケアマネジャーが一段となって国や地方自治体等に働きかけ、制度自体の改正を迫っていく必要である。

 ただし、予防ということは大変難しい仕事であり、利用者の意識を変えたり、意欲を高めるのには、時間をかけて作り上げる信頼関係が不可欠である。同時に、人々の意識や意欲の根底にある価値観までを変えることは、ケアマネジャーの仕事ではない。そのため、ケアマネジャーはすべての利用者が意欲が高くなったり、意識が変わるわけではないという認識も大切である。しかし、多くの人々には意識を変えたり、意欲を高める可能性であり、その機会をできる限り提供していこうとするケアマネジャー側での意識が大事である。

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4 コメント

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連絡会活動 (どりーむ)
2008-05-28 23:52:30
白澤先生へ

ケアマネジャーへのエール、ありがとうございます。いよいよ、次年度の介護報酬の見直し議論が本格化してきますね。
私は、税金や保険料を利用しての介護保険制度である以上、国や保険者が「財政論」の観点からもの申すのも、その役割として致し方がない部分もあるのではないかと思っています。

しかし、だからこそです。
ケアマネジメントを責任をもって遂行する、すなわち、利用者のニーズに合わせた支援を行うために、介護保険制度をいかに運用していくかについて、ケアマネジャーとしてのマクロな視点をもって、議論していかなくてはならない。そのためには、ただ感情的にものをいっても、行政は動かない。それなりの理論武装をして、臨んでいかなくてはと思っています。

これから、あちこちの連絡会等から、介護報酬等の見直しへの提言・提案が出されることと思います。私が所属する県や市の連絡会も、その準備にとりかかっています。ただ、それが、ただ単に、ケアマネジャーの地位や報酬アップを求めるものにならないよう、より適切なケアマジメントを実践していくための介護保険制度となるよう、声を上げていきたいと思います
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職能団体の役割 (白澤政和)
2008-05-29 16:04:47
 コメント有り難うございました。

 職能団体の役割はその通りですね。ケアマネジャー全体のレベルを高めるために努力すると共に、利用者サイドにたった意見をまとめていくところだと思います。このことが、ケアマネジャーの報酬や社会的地位を高めることになると考えます。

 市や県の連絡会で、みんなが一致する考えを、最初は無理せず、探っていってください。みんなから浮いてしまうこと困りますから。
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講義ありがとうございました。 (大村市の山口)
2008-05-29 19:45:19
白澤先生へ

以前に比べ確かに「おもしろくありません。」
日々書類に追われ、追われて
介護予防は特に「おもしろくありません。」
先日、ある通所リハの事業所へ訪問した時に
利用者さん同士の会話が耳に入り
「今更、要介護に成らないように自分で出来る事は自分でしましょう。家でリハビリしてますかと聞かれてもねえ~。出来る事はしているし、出来ないからやって欲しいのに・・。リハビリや散歩、聞かれたらやっていると答えないと利用させてもらえないのだろうからやってると答えてる。」
介護予防・・なぜ面白くないのか
報酬の低さ
高齢者が置かれている状況と介護予防へ共通理解のズレ 苦労してプラン作っても介護予防の効果が見えない事かなぁ。苦労が報われなくって・・。

先生の講義を聞きすっきりしました。
ケアマネジメントの原点に戻れですね.
ありがとうございました。
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介護予防は難しい (白澤政和)
2008-06-01 10:25:35
 コメント有り難うございました。

 介護予防で言う意欲を高めることは、教科書では高めろというだけですが、実際に、どうすれば(どのような支援方法をとることで)高められるのかがポイントですね。

 講演ではその辺りをお話ししましたが、これを実践に役立てて下さい。
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