ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

地域包括ケアとは

2009年08月28日 | ケアや介護
 厚生労働省は、「地域包括ケア研究会報告書~今後の検討のための論点整理~」(平成20年度老人保健健康増進等事業として実施された「在宅医療と介護の連携、認知症高齢者ケア等地域ケアの在り方等研究事業」:実施主体:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)を、5月22日に公表している。そこでは、地域包括ケアの定義についての提案がなされている。

 地域包括ケアとは「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(生活圏域)で適切に提供できるような地域の体制」との試案を提示している。さらに、誰か駆けつけるのか知らないが、「おおむね30分以内に駆けつけられる圏域」として、この生活圏域を、中学校区を基本にしてはどうかと問いかけている。

 この報告を読んでの感想であるが、2点気になることがある。

 第1点は、地域包括ケアの現状についてである。研究会の地域包括ケアの定義に何ら違和感はない。私は、個々の利用者を、空間的・時間的に生活の連続性を支えていくことの重要性をブログでも主張しており、そのことが地域包括ケアであるということで異論はない。

 ただ、こうした利用者の生活の連続性を制度的に崩しておきながら、その検証や検討を論議し報告されることなく、提案されていることが残念である。すなわち、ここで示した2つの図は、時間軸での連続性が、4年前の法改正で崩れたことを示している。現状でのこの窓口が2つ分かれ、要支援者と要介護者での連続した支援が難しくなり、ワンストップサービスやケアの連続性が崩れたことに対する問題提起もなくして、地域包括ケアは推進できるのであろうかということである。




 もう1つ気になることは、中学校区とは昔聞き慣れた言葉で再現してきたことである。これは、平成2年に在宅介護支援センターができた時に、当時中学校区が1万ヶ所あり、1中学校区に1ヶ所の在宅介護支援センターを作ることが、ゴールドプランに記載され、全国に普及していった。最終的には、8千近くまで伸びたが、これが4年前に地域包括支援センターに移行した。

 その時は、高齢者が移動可能な人口2~3万を生活圏域とし、都市部や農村部では人口規模は異なるということであった。そこで、また中学校区を生活圏域にという議論である。このことは、地域包括支援センターの生活圏域設定に問題であったのか、あるいは現状の多くの地域包括支援センターが多くの人口規模を抱えて実施していることへの反省からのものであるのか。これについても、現状の地域包括支援センターの実態とその成果を検討することでの議論でありたいと思う。同時に、個々の市町村においては、生活圏域設定があまり変わるようでは、個々の住民も行政も困惑することになる。

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2 コメント

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Unknown (カブラヤ)
2009-09-10 00:02:16
私は、薬剤師(調剤薬局)です。
医療、介護において、薬剤師の役割、ポジションがない状態は、いつものことであります。
地域包括ケアにおいても、やはり同様です。現状の常識から脱却する、ポジションを得るには、薬剤師の現状行っている(現状、役に立っているかは半信半疑です。)在宅訪問以外に、係わる可能性があるのか?ご意見をお聞かせください。宜しくお願い致します。
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地域包括ケア (居宅の主任ケアマネ)
2009-10-04 02:10:21
地域包括ケアの議論をみていくと、個別支援のケアマネジメントと地域ケアでのケマアマネジメント双方の展開と連携が必須となっていくこと思われるが、地域包括支援センターの三職種の連携や役割分担の不明確さや、居宅介護支援事業所に求められる居宅介護支援ではなくケアマネジメント力の向上が求められると思うが、それに対しての役割遂行者がやはり曖昧であるように感じてしまう。
特に地域ケアにおける展開はいまだ可視化されなず、手法が定まらないままに理想だけが走って行っているように感じてしまう。
一貫して連続した支援をシステム化するための仕組みつくりが必要だとは思うが、自らの職責として主任介護支援専門員はその役割の一翼を担うことが可能であろうか。介護支援専門員がスペシャリストからジェネラリストへとシフトしていく必要性と、介護保険に特化されている役割との不整合を今後地域包括支援センターとの連携の中でどこまで実践できるか現場でもあがき、もがきである。
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