現在東北地方を巡回展示している“ 震災で消えた小さな命展 2 ”。
今回は、私が描かせていただいた二匹の絵をご紹介させていただきます。
柴犬と秋田犬のミックス“ ゆいちゃん ”。 そして、黒猫の“ くろちゃん ”。
8月23日にアップしたこの展覧会のご案内の中にも書きましたが、この絵を描き始める前に、依頼された S さんと電話で直接お話をさせていただきました。
二匹の想い出を語る勢いに圧倒されながら、同時に大きな力をいただきました。
そしてその時、もう一つ悲しい話を知りました。
この二匹だけでなく、S さんのご主人も津波にさらわれ、未だに行方がわからないままだったのです。
言葉に詰まりました。
淡々と語り続ける S さんの声が、私にはかえって余計につらく感じられました。
ご主人は S さんご自身以上に動物好きだったとのこと。
ゆいちゃん も くろちゃん も、ご主人のやさしい気持ちに寄って救われた命だったようです。
実は、ゆいちゃん も行方不明のまま・・・。 そして くろちゃん は、震災後一ト月近く経った頃に、ご自宅の跡の居間があった場所で亡骸が見つけられ、家族の方々の手で手厚く葬られたそうです。
“ 猫は家に付き、犬は人に付く ”
よくそんな言葉を耳にしますが、まさに・・・という思いでした。
ゆいちゃん はご主人との散歩が何よりの楽しみだったとのこと。
きっとご主人を独りぼっちにさせないように、一緒についていったのでしょう。
今ごろは雲の上で、いつものように楽しく散歩しているのかな・・・。
今はただ、縁あって描かせていただいたこの絵が、S さんとご家族の皆さんにとって、たとえ僅かでも心の安らぎになれば・・・と願うばかりです。
ゆいちゃん と くろちゃん は ご主人と一緒に、いつも S さんを見守ってくれている!
そう信じています。
事故にしろ災害にしろ、ある日突然、居なくなった命、家族の心情は計り知れないものでしょうね。
山中さん達の絵によってその子たちが確かにこの世に存在した証になりますね!素敵なお仕事だと思います(^O^)
私たちの描かせていただいた絵が、悲しい思いをされた方々の心をいやすことはもちろんですが、段々とマヒしかけている多くの人たちに、現実はまだまだ厳しい状況にあるということをきちんと知らせるきっかけになればと願っています。
微力でも・・・、続けていきたいと思います。
ありがとうございました。