元気の源

猫が大好き、動物が大好きな、パステル画家・山中翔之郎のブログです。

“ 震災で消えた小さな命展 2 ”のお知らせ

2012-08-23 12:55:51 | 展示会


4月28日のご紹介した“ 震災で消えた小さな命展 ”のPART 2 が、いよいよ明後日の8月25日(土)から31日(金)までの一週間、柏駅近くのハックルベリー・ブックスで始まります。

私が担当させていただくことになったのは、柴犬と秋田犬のミックス“ゆいちゃん”と、黒猫の“クロちゃん”。
二匹を一緒に描いた絵がようやく完成したのは、まだほんの3日ほど前のこと。 一昨日その絵を巡回展のスタートとなる柏のギャラリーに発送しました。


代表の うさ さんから絵の資料が届いたのは、7月に入ってすぐの頃でした。
文章がびっしりとプリントされた用紙が何枚か入っており、私はその中の手紙をコピーしたような手書きの文字が並んでいる一枚を無意識に手に取り、読み始めていました。
それは二匹の絵を依頼された S さんから うさ さんへ宛てられた手紙でした。
そこには二匹とご家族との想い出やそれぞれの特徴が、一見淡々と書かれてあるように見えました。 しかし何度も何度も読み返しているうちに、その行間から、震災のときの大変な思いやその後のご苦労がひしひしと感じられて、胸が詰まる思いでした。
同時に、家族の一員だった二匹を絵に描いてあげることで少しでも S さんご家族のお気持ちが安らぐなら・・・という気持ちが頭をもたげ、次の瞬間には身体中が熱くなるのを感じました。
「ヨシッ!」と気合を入れて二匹の写真を探しました。 しかし、その中に写真は入っていませんでした。
正直、ちょっと焦りました。
「できれば写真があった方が・・・」と希望していたのですが・・・。
しかしもう自分の気持ちを変えることなどできませんでした。 S さんのお手紙を読み、そのお気持ちに触れてしまった後で、自分の我がままなどは消えてなくなっていました。
ただひたすら S さんに喜んでいただきたいという思いだけでした。
この企画に参加するきっかけをいただいた作家仲間の まつやまけいこ さんから後で聞いたところ、今回のPART 2 では、お写真無しの希望者が多かったとのこと。 その中で うさ さんが私にこの二匹を選んでくれたのは、きっと何か不思議な力に由るご縁があったからなのでしょう。 
「似ているかどうかよりも、心を込めて描けば・・・」
まつやま さんの言葉に大いに同感し、力をいただきました。


実際に描き始める前に、うさ さんに無理を覚悟で一つだけお願いをしてみたことがあります。 
「もし可能ならば、S さんから直接二匹のお話を聞かせてもらえないだろうか?」と・・・。
何日間か経って、うさ さんからご本人のOKをいただいたとの連絡をもらいました。 
早速教えられた電話番号へかけてみることに・・・。
呼び出し音を聞きながら、かなり緊張している自分がいました。 どのような言葉で、どこまで詳しく訊くことが許されるのか・・・? とても不安でした。
しかし、受話器から聞こえてきた S さんの声は、想像していたものとは全く違っていました。 その声はとても明るくて、不思議なほどの親しみを感じさせてくれました。
私の方から訊くまでもなく、資料には書かれてなかった ゆいちゃんとクロちゃん の特徴や二匹との想い出話が、堰を切ったように次々と溢れ出てきたのです。
想い出すことが辛い思いをさせてしまうのではないかと勝手に心配していました。 しかし S さんの声を聴いていると、どうもその考えが間違っていたことに気づきました。
寂しさを感じながらもしっかりと想い出すことで、二匹が確かに存在していたことを再確認し、むしろそうすることで僅かずつでも悲しみが消え、楽しかった想い出が蘇ってくるかようでした。
「どうかよろしくお願いします。 楽しみにしてますから・・・」
そんな S さんの明るく力強い言葉に、いつの間にか私の方が励まされていました。

こうして S さんの熱い思いに後押しされて、ゆいちゃん & クロちゃん の絵は完成しました。
残念ながら、まだ S さんご本人がご覧になっていないうちから画像をアップするわけにはいきません。
いずれ“ 震災で消えた小さな命展 ”のホームページで、参加作品が紹介されるはずです。 また、S さんの了解をいただければ、ここでも改めて画像をアップしたいと思っています。


今回のPART 2 では、全部で76名の方々から申し込みがあったとのこと。
きっと私の場合と同じように、希望された皆さんそれぞれの思いが詰まった76枚の絵がギャラリーの壁いっぱいに並ぶことでしょう。
柏での展示の後は、2か月ほど宮城・岩手・山形をまわり、さらに愛知・長野へ・・・。 その後も約一年をかけて、全国を(もしかしたら海外も・・・?)巡回する予定とのことです。
今後の詳しい予定・会期・会場等については“ 震災で消えた小さな命展 ”のホームページをご覧ください。 そしてもしお近くにお住いの方は、ぜひお出かけになってください。
入場は無料です。
会場ではポストカード等の販売があり、売り上げは全て展示会の維持経費に充てられるそうです。 寄付金も受け付けているとのこと。
先ずはお出かけいただき、そしてじっくりとご覧いただき、何か感じていただけることがありましたら、ご協力いただければ嬉しいです。

私自身いつ会場に行けるか分かりませんが、何とか時間を作って、震災で消えた小さな命たちの温もりを直接感じたいと思っています。
動物たちを愛する皆さん、ぜひぜひ会場に足を運んでみてください。
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