形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

ままごと遊び

2012-09-04 16:53:06 | 昭和の頃

小学生の頃、休みの日の雨は、外で遊べない私には退屈でもだえるほどだった。
部屋の中で、どうやって遊ぼうか、悩んじゃうのだ。 
そんな雨の日の午後、隣の家の一つ年下の幼なじみ、平ちゃんに、
遊びにおいでよと誘われた。 どうせまた、トランプかなんかやるんだろう
なと思いながら遊びに行った。

平ちゃんには、私より四つぐらい年上のお姉さんがいる。 
行くとそのお姉さんが家にいて、おままごとしましょうと誘われた。 
ままごとなんてやったことがない。 
用意するからと、私と平ちゃんは隣の部屋で待たされた。

いらっしゃい!の黄色い声でいってみると、畳の上に小さなゴザを敷き、
その上に化粧品の見本なのか、小さな瓶が所狭しと並べられていた。
小瓶のいくつかには、赤や青、緑の色のついた水が入っていて、
私たちは "お客さん" 役らしい。

お姉さんは、口に手をあてて、オホホッなどと笑いながら、緑の水を
小さなオモチャの茶碗に入れて、「お茶をどうぞ」とすすめてくれた。 
その間、私たちはお客なので、正座をしてないといけないらしい。
アホらしいというか、なんというか・・・・でもそれは、初めての
新鮮な遊びだった。 ままごと遊びをしているうちに、私は"お姉さん"
というものに憧れた。 オレもお姉ちゃんが欲しいと。

ある日おふくろに、お姉ちゃんを生んでくれと頼んだ。 
鼻水をたらして笑っているだけの弟より、なんぼいいことか。 
ところがおふくろの話だと、「バカだね、これから生んだら、おまえより
年下だから、妹になっちゃうんだよ」 と笑われた。 
とたんに、そばで笑っている弟の丸い顔が、お下げ髪の女の子の顔に
見えて、 「そんなら、いらないや・・・・」と答えた。  

                  
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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