形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

日夏耿之介

2012-02-14 16:32:28 | Weblog
『 空気上層 』

                        かけ
             空気上層を翔る
     

           人よ

           なんだち
           衆庶なにものぞ

                      せつだん
           翼 烈風を截断して

                 たましい     
           手を拡げ 霊 陽光を吸う
                   じゃくしょうびたい
           点在するは弱少微体

           ふてん
           普天にうごく神のおもみをわれ感ず
  










『 紅宵 』

            野にいでて

         しと
         淑やかに

         吐息すれば
          そら
         昊天は沈み
            
         地は臥しまろび
         いりひ
         落日のみ

         きらきらと
             ふくら
         世界に膨張む
 




二十代の頃、誰かのエッセイの中で、美しいタイトルとして、
日夏耿之介(こうのすけ)の「 夏への扉 」 を紹介していた。 
その言葉を見たとき、私の中に、輝く夏草と青空や積乱雲の光景が
鮮やかに浮かび、忘れ難い言葉となって残った。




しかし日夏耿之介が、どういう人なのかまったく知らずにいた。
最近、なんとなく興味を覚え調べた。 
日夏耿之介(1890~1971)、英文学者、詩人。
早稲田、青山学院大学の教授も務める。
長野県飯田市生まれ。 喘息の持病があり病弱だったようだ。

その詩を読んでみたいと思い探したが、新刊はもう無く古書で手に入れた。 
読んで背筋にザワザワしたものが走った。 なぜこのような凄い詩集が
手に入り難くなっているのか。 詩人自ら言ったという、
『ゴスィック・ローマン詩体』、視聴二覚による、『形態と音調の錯綜美』。
見たこともないような、非常に難解な漢字が随所にあるため、
理解され難いのかもしれない。
 
日夏耿之介は大衆に迎合することを頑なに拒んだという。
必然的に高踏的になる。 まさしく荘重で神秘主義的な象徴詩だ。
日夏耿之介の部屋には、聖母マリアの絵がかけられていたそうだ。
私の中のイメージでは、中世の修道僧が祈りを訥々とつぶやくような、
格調の高い旋律を感じる。 ここには漢字がわかりやすいものを載せた。
 

からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/
コメント
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