Seven Color Side

日々の感じた事、好きな物、
好きな音楽についての独り言的日記。

乳と卵

2012-12-05 | 




-娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。
巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。
緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。

夏の三日間に展開される哀切なドラマは
身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。-


緑子の思いが突き刺さりました。

自分を生んだことで、母親が失ったもの。
それを取り戻すことが豊胸手術なのかは誰にもわからないけど
その思いは緑子を傷つけ、母は何も悪くないと知りながらも、母のようにはならないと
自身の女性としての成長に嫌悪感すら抱いている。


最近はものを見てると頭が痛い。目から色んなものが入ってくるの
か。
目から入ってきたもんは、どっから出ていくのでしょうか。
どうやって出るのか言葉になってか、涙になって、
でももしか、泣いたりもしゃべったりもできん人やったらば、
そうやって目にたまったもん出していけん人やったらば
目からつながってるとこ全部ふくらんで、いっぱいになって、
息をすんのもしんどくなって、それからどんどんふくらんで
目はもうきっと、あかなくなってしまうでしょう。
(緑子のノートより)


伝えたいのに、言葉が足りない。

本当は母親のことが心配で心配で、守ってあげたいのに
何も出来ない自分がきっと一番嫌い。

ラストの親子の激しいやり取りは、言葉を超えた心の叫び。
でもそうやって向き合えたことで、この親子の未来は
これまでとは違ったものになると思えました。

川上さんは、ミュージシャンでもあるので以前から知ってましたが
作家さんとしての作品は、一見読みづらいかな?と思うところもありますが
『わたくし率・・・』と『ヘブン』も読みたいです。
(他にもありますが、今はこの2つが気になってます)

また読み返してみようと思います。



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