Seven Color Side

日々の感じた事、好きな物、
好きな音楽についての独り言的日記。

砂漠・伊坂幸太郎

2014-10-10 | 

 

-俺たちがその気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ-

 

 

随分前に買ってつい最近読みました(笑)

とっつーこと、戸塚祥太君お薦めの一冊です。

西嶋の印象が強すぎて、他の登場人物がやや物足りない感じがして
全体的な印象は『重力ピエロ』を越えなかった。
でもオアシス時代(学生時代)の危うい純粋さやキラキラした時間がとても素敵でした。
西嶋は身近にいたら友達になりたいタイプかな。

以前とっつーが「西嶋は僕です」って言ってたけど、西嶋というよりは西嶋みたいな人に憧れを抱いたり
ああいう人になりたいという願望みたいなものを持ってるのかな?と思った。

みんな砂漠を生きてる。

そしてそれぞれの空に雪が降るのを待ってる。

自分では気づかないうちに誰かの空に雪を降らせているかもしれない。

私の空にも雪は降った。

砂漠に雪は降ったんだよ。


ドグラ・マグラ

2013-03-05 | 

 

-大正15年頃、九州帝国大学医学部精神病科の独房に閉じ込められた
記憶喪失中の若き精神病患者の物語(と思われる)であり
「私」という一人称で語られていく。
彼は過去に発生した複数の事件と何らかの関わりを有しており
物語が進むにつれて、謎に包まれた一連の事件の真犯人や
動機・犯行手口などが次第に明かされていく-


「読破した者は一度は精神に異常をきたす」

と言われている、日本三大奇書の一つ
夢野久作・作【ドグラ・マグラ】の【まんがで読破】版を読みました。

原作が欲しかったんですが、在庫切れになっていたので
まずはこちらを買ってみました。

まんがなので、あっと言う間に読み終わりましたが
まあ・・・何と言うか・・・1回目読んだ時は「・・・えっ」と思ったけど
2度目は「・・・そういうこともあるかも」と納得がいくところもあって。

原作はかなり難解なようなので、いつもなるかわかりませんが
感想はまた改めて書きたいと思います。

・・・このまんがの絵が・・・私が苦手なタイプだったので
話しが進んでいくにつれ、「はぁ~~~」となって
ラストの方は登場人物の表情がどんどん恐くなって
ページをめくるのが辛くなるほどでした
内容よりも、視覚的なインパクトの方が強かったかも

でも、もう一冊、まんがで読破シリーズから読みたい本がある・・・
それはジャンルが違うから大丈夫かな・・・?

【ドグラ・マグラ】の原作、大変そうだけど読みます!


乳と卵

2012-12-05 | 




-娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。
巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。
緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。

夏の三日間に展開される哀切なドラマは
身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。-


緑子の思いが突き刺さりました。

自分を生んだことで、母親が失ったもの。
それを取り戻すことが豊胸手術なのかは誰にもわからないけど
その思いは緑子を傷つけ、母は何も悪くないと知りながらも、母のようにはならないと
自身の女性としての成長に嫌悪感すら抱いている。


最近はものを見てると頭が痛い。目から色んなものが入ってくるの
か。
目から入ってきたもんは、どっから出ていくのでしょうか。
どうやって出るのか言葉になってか、涙になって、
でももしか、泣いたりもしゃべったりもできん人やったらば、
そうやって目にたまったもん出していけん人やったらば
目からつながってるとこ全部ふくらんで、いっぱいになって、
息をすんのもしんどくなって、それからどんどんふくらんで
目はもうきっと、あかなくなってしまうでしょう。
(緑子のノートより)


伝えたいのに、言葉が足りない。

本当は母親のことが心配で心配で、守ってあげたいのに
何も出来ない自分がきっと一番嫌い。

ラストの親子の激しいやり取りは、言葉を超えた心の叫び。
でもそうやって向き合えたことで、この親子の未来は
これまでとは違ったものになると思えました。

川上さんは、ミュージシャンでもあるので以前から知ってましたが
作家さんとしての作品は、一見読みづらいかな?と思うところもありますが
『わたくし率・・・』と『ヘブン』も読みたいです。
(他にもありますが、今はこの2つが気になってます)

また読み返してみようと思います。


ぼっけえ、きょうてい

2012-11-26 | 

-時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が
寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。
残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた・・・

「ぼっけえ、きょうてい」とは岡山の方言で「とても、こわい」という意-


「今、それ読む?」という本が続いてますが

・・・この本、途中で読むの止めようかと思うくらい、本当に一瞬気分が悪くなりました。
とにかく描写がえげつなくておぞましい
でも、それは非現実的なものではなく、一つ一つの出来事を考えると
最終的には違和感はなかったのだけど。

根性で2回読みましたが、当分読み返すことはないと思います。
・・・でも、もう一冊あるんですよね、岩井志麻子さん著作品。
いつになることやら。

表紙の絵もなんだか不気味に見える今作品
ゾ~っとしたい方にはいいかも知れません。


蹴りたい背中

2012-11-18 | 

-「このもの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」
初美は陸上部の高校1年生。
ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンである、にな川から
彼の部屋に招待されるが・・・-

クラスメイトのことを意識しながらも、その輪の中に入ることを
自ら避けている初美と、ファンであるモデルのことしか頭になく
他のことから自然に遠ざかっているような、にな川。
二人ともクラスの余り者。

初美は、にな川に、余り者同士の共感のようなものを求めていたのかも知れないけど
彼の世界はオリチャンでいっぱい。
彼への感情は友情なのか、愛情なのか、答えのないもどかしい感情が
繊細な言葉で表現されています。

-認めてほしい。許してほしい。
私の心にからみつく黒い筋を指でつまみ取ってごみ箱に捨ててほしい。
人にしてほしいことばっかりなんだ。
人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに-

幼さ、純粋さ、潔癖さ。

オリチャンに近づいていったあの時に、おれ、あの人を今までで一番遠くに感じた。
彼女のかけらを拾い集めて、ケースの中にためこんでた時より、ずっと。

一歩踏み出した、にな川。だから、彼は変わる(と、思う)
初美の、彼を蹴りたくなる衝動もなくなっていくのかな。

綿矢さんの作品は本作と「インストール」の二作しか読んでないけど
私は「インストール」の方が好きです

また別の作品も読んでみようと思います


贖罪

2012-07-17 | 

とある田舎町にできた工場と、社員のために建てられた瀟洒な社宅。
そこに越してきた転校生エミリの環境に憧れや羨望の思いを抱きながら
4人の小学生はエミリと仲良くなる。
夏休みのある日の午後、彼女達はエミリの死体を発見する。
彼女達は犯人を見ていたが、その顔を思い出すことが出来なかった。

エミリの母親からの「あなたたちは人殺しだ。犯人を見つけるか、
私が納得できるような償いをしなければ、復讐をする」という言葉。
15年後、彼女達が抱き続けてきた罪の意識と
エミリとエミリの母に対する償いが、さらなる悲劇を巻き起こす。


娘を殺された母親と、娘の友人4人の贖罪の物語。

それぞれの独白はどれも辛いものだったけど
友人4人がなぜあそこまでの思いをしなければいけないのか?
一緒にいたというだけで悪いことはしていない。


あの麻子という母親は、一人の女性として、かなり嫌いです。

最後の彼女の独白は、読んでて軽くイラ!っとしたし
娘を殺されたとはいえ、全然可哀相に思えなかった。

この人が、自分とは違う環境や境遇で生きてきた人のことを思う気持ちが、
もう少し繊細であったなら、誰も死ななかったかも知れないのに。

結局、自分がしたことに対して復習されたわけだけど周り巻き込みすぎ…

4人の子のうち一人が教師になっていて
彼女の独白場面は、【告白】の森口先生を連想してしまいました。
比べつもりはないですが、同じ作家さんの作品なのでつい。

衝撃度で言えは【告白】が、はるか上でした。

読み終えた時、ほんの少し違和感のある作品でした。


東京島

2011-07-20 | 


清子と隆は、結婚20周年を記念して夫婦二人りきりのクルーザー旅行に出かけるが
途中で嵐に遭い、太平洋に浮かぶ無人島に漂着する。
43歳、専業主婦だった清子は、島で救助を待つ日々を送る中
意外にもサバイバル能力を発揮。
一方、隆は島の生活に馴染めず、日に日に衰弱していく。

そんなある日、16人の若いフリーターの男たちが漂着。
彼らは島を“東京島”と呼び、それぞれ生活を始める。
やがて密航に失敗した6人の中国人も加わり
男23人と、女は清子ただ一人という奇妙な共同生活を送ることになる。

少しずつ島のバランスが崩れていく中、争いを避け、
ルールをつくって島に安住しようとする日本の男たち。
脱出計画を立てながらも生存能力を発揮する中国人。
相容れない2つのグループの間を渡り歩き、何があろうと脱出しようと決意する清子。
果たして、この“東京島”から脱出できるのは誰なのか…。


・・・かなり前に読み終わっていたのですが
なんか感想を書く気になれなくて、
そもそも感想らしい感想がなくてずっと放置していました

とりあえず、この本、ダメでした。

途中まではよかったんですが、あのラストが

極限状態の人間の恐さやしたたかさの中にある強さ、というものは感じましたが
その強さは後味が悪くて、人としての誠実さや優しさは感じない。
・・・あの状態の中、そんなものはあるわけない、とも思うけど。

でも登場人物の誰一人、ピンとこなかったし、ラストも受け入れ難かったです。 

そんな「東京島」でした。


重力ピエロ

2011-06-17 | 


―兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。
家族には、過去に辛い出来事があった。
その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。

連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。
そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。
謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―

 

3ヶ月ほど前に購入して、一気読みしたいためにずっと放置していた1冊。

映画は見ていません。


兄が弟を思う気持ち、弟が兄を思う気持ち、そして父と母のゆるぎない愛情。

春の出生はあまりに悲しくて、その行為は痛々しい。
彼がしたことは、世間的には許されないことだけど家族には許されている。
「良くて、悪いこと。」だという認識のもと。

私は、兄弟に対する父親の言葉がとても力強くて、温かくて
この家族にとって、一番の救いのような気がします。

一番重力を超えていたのは、この父親ではなかったかとも。

この家族は確かに最強です。

伊坂さん作品、また読んでみたいと思いました。


続・告白

2010-06-25 | 

告白」・・・読みました

・これは復讐の物語なのか、再生の物語なのか。

・誰か救われた人はいるのだろうか。


一番大切なものを、ある日突然、理不尽な形で奪われたら
何らかの報復をしたくなるだろう。

その相手が、法の裁きが曖昧な“少年”だったら・・・

答えのない状態で話しが終わっているので、登場人物達の“その後”は
読んだ人、それぞれの心の中で考えてください・・・ということですかね。

あの病名が出てきた時点でまず驚いて、その後の展開にまた驚いて
登場人物それぞれの気持ちや背景に苛立ったり悲しくなったり。

そのせいかどうか解らないけど、ラストの“衝撃”は、思っていたより薄かった。
「あ~、そうくるか・・・」と思ったけど、そうされたんだもんね。

・・・全然感想らしいことは書けないけど読んで良かったです。

「答えも提示もないようなラスト」・・・な気がしてたけど(「答え」はないか・・・)
こうして書いているうちに「そうじゃないのかも?」という気がしてきました。

映画も気になる~