-「このもの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」
初美は陸上部の高校1年生。
ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンである、にな川から
彼の部屋に招待されるが・・・-
クラスメイトのことを意識しながらも、その輪の中に入ることを
自ら避けている初美と、ファンであるモデルのことしか頭になく
他のことから自然に遠ざかっているような、にな川。
二人ともクラスの余り者。
初美は、にな川に、余り者同士の共感のようなものを求めていたのかも知れないけど
彼の世界はオリチャンでいっぱい。
彼への感情は友情なのか、愛情なのか、答えのないもどかしい感情が
繊細な言葉で表現されています。
-認めてほしい。許してほしい。
私の心にからみつく黒い筋を指でつまみ取ってごみ箱に捨ててほしい。
人にしてほしいことばっかりなんだ。
人にやってあげたいことなんか、何一つ思い浮かばないくせに-
幼さ、純粋さ、潔癖さ。
「オリチャンに近づいていったあの時に、おれ、あの人を今までで一番遠くに感じた。
彼女のかけらを拾い集めて、ケースの中にためこんでた時より、ずっと。」
一歩踏み出した、にな川。だから、彼は変わる(と、思う)
初美の、彼を蹴りたくなる衝動もなくなっていくのかな。
綿矢さんの作品は本作と「インストール」の二作しか読んでないけど
私は「インストール」の方が好きです
また別の作品も読んでみようと思います
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