Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α51H「太田道灌」 朝倉文夫, 1956.

2024-04-21 | Exhibition Reviews
 東京国際フォーラムにたたずむ武士の像は、太田道灌が江戸を拓いてから五百年を記念した高度経済成長期のモニュメントだそうです。

 もともと、有楽町にある東京国際フォーラムは旧東京都庁舎跡地の再開発に伴い建設されましたが、このモニュメントだけは都庁が西新宿へ移転後もそのままの姿で現在に至っています。

 その作者は「東洋のロダン」と呼ばれた彫塑家・朝倉文夫、そしてその作風はモデルとなった人物像を介して在るべき姿や理想などを表現した印象を抱かせるような気がします。

 一方で、高度経済成長期後の「失われた二十年」と呼ばれる時代に西新宿へ移転した都庁にたたずむ女性の像のひとつに、朝倉文夫の次女である朝倉響子の作品※があります。父の作風とは異なり、ありのままの姿で、あるがままに臨もうとする印象を抱かせてくれるような気がします。

 親子の作品が新旧の都庁に設置されているのは思わぬめぐり合わせかもしれませんが、ひょっとしたら、設置された社会背景や時代を読み解く糸口になるのかもしれません。

初稿 2024/4/21
写真「太田道灌」 朝倉文夫, 1956.
撮影 2022/12/10(東京国際フォーラム)
※) #92「社会人としての第一歩」
  α20A「マリ」朝倉響子, 1984.
コメント
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