Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§152「様々なる意匠」 小林秀雄, 1930.

2022-06-11 | Book Reviews
 意匠とは工夫を凝らした設計や構造、言わばデザインであり、眼に見える物理的な存在のみならず、眼には見えない思想や価値観といった物理的ではない存在もまたその意匠なるものの一つなのかもしれません。

 また、思想や価値観は言語によって構成され、あらゆる存在に意味を付加した記号の集合体としてのシンボル(象徴)機能のような気がします。

「象徴とは上等な記号である、という以上を語り得ない。しかもある記号を上等にするか下等にするかはこれを見る人の勝手に属する」(105頁)

 言語はシンボル(象徴)であるがゆえに、見る人によってその解釈は様々であり、言語を通じて他者が何をどう思いどう記したのかに思いを馳せることが、小林秀雄が語る「思い出す」ということなのかもしれません。

 そして、「思い出す」ということは、時間や場所に制限されることなく、他者という存在を言葉によって自らの意識に再構築し、言葉をして自らを語らしめることが、「考える」ことのような気がします。

初稿 2022/06/11
写真 薬師寺 西塔, 1981(再建)
撮影 2014/02/02(奈良・西ノ京)
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