Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

α13「ターナー展」 神戸市立博物館, 2014.

2021-02-21 | Exhibition Reviews
 お正月にオンラインで観た「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(→α11)」で紹介されていたターナー。約七年ほど前に観た絵画展の図録を紐解いてみました。

 大英帝国が産業革命によって巨大な海運国家として成長した時代、その日常や事件のワンシーンを光が織りなす色彩と大気に溶け込ませて劇的な物語として描く作風のように感じます。

 ひょっとして、光は網膜を通して純粋経験をもたらすものの、その分解能は時間とともに減衰するがゆえに、記憶は忘却の彼方に消え去ってしまうのかもしれません。

 産業革命と言えど当時の記録メディアは出版と絵画に過ぎなかったなか、ターナーが選んだテーマと作風そのものが当時の市民社会に潜む集合的無意識を示唆しているような気がします。

初稿 2021/02/21
校正 2022/02/06
写真 ターナー展 図録~「湖に沈む夕日」
Joseph Mallord William Turner, 1775~1851
期間 2014/01/11~2014/04/06
(兵庫・神戸市立博物館)
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