Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§1「三四郎」 夏目漱石, 1908.

2013-02-10 | Book Reviews
 大学一年の国文学で読んだきり、約二十年ぶりに読み返してみました。

 舞台は約百年前の東京。親元を離れ手にする自由という可能性と誰もが経験する希望への渇望。そして、よりどころが見つからない焦りや不安を描く純文学の先駆け。

 人は様々な仮説を立て、かくあるべしという自分に憧れるもの。その仮説へのこたえのひとつが美禰子が三四郎につぶやいた言葉「Stray Sheep」。そして、彼女は彼のもとを去った。

 かくあるべしという仮説は様々。証明するもよし。棄却するもよし。自らが何を選択すべきかを問いかけはじめたのが、「三四郎」だったのかも知れません。

初稿 2013/02/10
校正 2020/04/04
写真 三四郎池
撮影 2013/02/09(東京・本郷)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする