序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

役者をめざす諸君に・資質

2008-05-29 17:02:58 | 日記・エッセイ・コラム

200805291338 今朝は激しい雨音で目が覚めました。
この週末の天気は思わしくなさそうです。そろそろ梅雨のはしりでしょうか。
この週末の土日はカッパ祭りの通称で知られる品川荏原神社の祭礼があります。
この祭りは4月に行った劇団芝居屋公演「ワッショイ!」のモデルになった祭礼です。この時期に行われる祭りですから昔から両日晴れるという事は稀で、どちらか一日が崩れます。そうすると大人はいいのですが、子供の出足に影響が出て何とも気勢の上がらないものになります。やはり祭りには祭囃子と元気な子供の声がかかせないものです。

さて前置きはこのぐらいにして。
今日から数回に分けて役者を目指す為には何が必要か考えてみたいと思います。
今回はまず「資質」というものを考えてみたいと思います。

私が演劇の道に足を踏み入れて早四十年の月日が経ちます。その間演劇を通して付き合った人達はどの位いたでしょう。その付き合いの深度の差を考えず数だけ数えれば二千人以上はいたのではないでしょうか。無論それは若い頃の深く狭くの付き合い方の人数と、演出に手を染め出してからの浅く広くの付き合い方の人数の合算です。
現在私と同時期に演劇に足を踏み入れ、現在尚演劇に拘っている人間は数人に過ぎません。
なぜその数字がわかるのかと言いますと、その頃は今の様に劇団が沢山ありませんでした。民芸、俳優座に代表される大手の劇団とそこの出身者で作られた中堅の劇団。その大手中堅の演劇を否定し、あたらしい演劇論を展開しようとする新興劇団。この三つの勢力が合い争って芝居を打っていました。
ですから同時期にこの世界に足を踏み入れた人間は別な劇団であっても気になって仕方なかったのです。

昔は今の様に演劇に世界に足を踏み入れる事は簡単ではありませんでした。芝居の世界に足を踏み入れる人間はこういわれた者です。

「道楽者」

私達の世代の人間にとって懐かしい言葉ですが、若い方には判らないかもしれないので国語辞典の解説を載せましょう。

道楽者とは 1 酒色・ばくちなどにふけり、本業に身を入れない者。2 怠け者。横着者。

とこう言われたものです。
つまり今の様に演劇が市民権をもってなかった時代でした。
でも若さ(馬鹿さ)というものが世間のそんな目付きを吹き飛ばし私を演劇の世界に導きました。以来四十年。同じ志で足を踏み入れた人達は、いろんな理由で演劇の世界から退いて行きました。
中には素晴らしい感性の持ち主が、優れた技量の持ち主がいました。でもそれぞれの事情でこの世界から足を洗ったのです。どんな感性を持っていても、どんな技量を持っていてもそれは芝居の世界にいればこその事です。

演劇をする為の第一の資質、それは「しつこさ」です。
そしてその「しつこさ」を生み出す本が「芝居が好き」という心です。


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