
《不安な仲間たち》
山頂の荒地(岩場)に生えた植物の葉の上部が鳥に変容しているのは、あり得ない、条理を外した光景である。
曇天だが、下方からは奇妙に明るい光が差している。
鳥の眼は大きく見開きこちらを見ている。
これらの条件を踏まえて《不安な仲間たち》と名付けているが、たしかに不安である。飛翔すべき鳥は葉からの変容であり、つまりは拘束状態であり、本来の機能は駆使されない。
飛べない鳥と成長を妨げられた植物とが一体化している奇妙。鳥は葉を助けず、葉もまた鳥を助けないという相殺の関係である。相容れないものの合体は負を予感させる。
鳥の眼差しがこちらを向いているのは沈黙の抗議かもしれない。異種の融合は必ずしも有効な手段とはならず滅亡へと堕ちていくことの警告である。
(写真は『マグリット』東京美術より)
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