夏みかん酸っぱしいまさら純血など
春(青春)の長閑で世界を知らない吞気、穏やか、平和・・・。それに比して夏(成熟)の酷暑は夏みかんを希求する。甘い、塩辛い、辛い、苦いなどという感じではなく、夏みかんは、正しく酸っぱい。猛暑への守りと攻撃にしびれる緊張を一瞬にして解き放つものである。
孤島の日本の安穏、そんな時代はすでに終わっている。他国との応戦は虚しい。己を知らない日本、日本は地球の一隅にすぎない。
いまさらの純血、守り通すなんぞ笑止!
純血という言葉が純潔(異性との性的経験のないこと/心にけがれなく清らかなこと)をイメージさせ、酸っぱい感覚が子を孕む想像を呼ぶことで、この句は二重に立ち上がっている。