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続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『巨人の時代』

2016-03-06 07:17:02 | 美術ノート

 『巨人の時代』
 着衣の男が裸の女に被さり引き寄せようとし、女はそれを強力に拒もうとしている。いわば、男の強姦図だと決定づけてもいいかもしれない。
 男は女のシルエットの中に映像を残すのみにカットされている、つまり背中や足腰は描かれていない。

 男は女より強く女は男の意に従うという通念が、この絵を《強姦の図》に仕立てるのではないか。この絵をみて、女が男を引き寄せているとはだれも考えない。愛の欠落した恐怖の場面(強姦)と考えるのが一般的である。 

 しかし、もし男の全身が描かれ、男が女に強引に引き寄せられている状態を想像するならば、この絵の感想は全く異なるものになる。
 女の腕の力を籠めた太さと強さは、男を引き離しているようでもあり、また、男を引き寄せようとしているとも思えるのである。

 背景は深緑、ずっと昔の過去か、あるいは未来か・・・時代は隔たっている。(『原始、女性は太陽だった』(平塚らいちょう)と、日本でも)

 《男は女の意に逆らえない、そういう巨人であった女の時代》
 マグリットがニヤリとほくそ笑む、そんな顔が浮かんでならない。

 つまりこの絵には二重の光景が隠されているということである。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』247。

2016-03-06 06:52:18 | 宮沢賢治

そして読みながら上着のぼたんやなんかしきりに直したりしてゐましたし燈台看守も下からそれを熱心にのぞいてゐまいたから、ジョバンニはたしかにあれは証明書か何かだったと考へて少し胸が熱くなるやうな気がしました。


☆独(一人きり)の章(文章)の記である。
 自記は套(おおう)題(テーマ)を兼ねた趣(考え)である。
 化(形、性質を変えて別のものになる)に、熱(夢中になる)新しい章(文章)であり、妙(不思議)な諸(もろもろ)の果(結末)の講(はなし)である。
 照(あまねく光が当たる=平等)の教えに熱(夢中になる)記である。


『城』2252。

2016-03-06 06:31:53 | カフカ覚書

それでも、あの机のなにか仕事を持っている。大きな本をひらいて、なにかしら読み、書記にむかってなにかしら小声で口授し、ときたまバルナバスのうえに視線をおとすときは、なにかしら考えているにちがいない。たとえこれらすべてのことが事実でなくなんの意味もないとしても、だれかが彼を底に配置し、これにはなんらかの意図があったにちがいありません。


☆それでも書見台のところで大きな本をひらいてなにかしら書記にむかって小声で口授しバルナバス(生死の転換点)に先祖の汚点として長い時間視線を落とすとき、なにかしら考えているに違いない。たとえなんの意味もないとしても、彼と彼の行為にはなにかしら意図があるにちがいない。