『自由の入口で』
閉塞の部屋である。
暗色の天井。
右の壁の上部はメラメラ燃える情熱(嫉妬・欲望)。下部は人為によって任意に開けられた穴(開口)/傷痕。
左の壁の上部は女体(性欲・情念)。下部は森林の緑(平和・安息)/混迷。
正面の右上部は鈴(言葉・伝説・流布)。下部は沈黙(従順)。
正面の左上部は板壁(歳月・時間の経由)。下部は雲の散在する青空(自然・水の三態/循環の示唆)。
手前の床面に置かれた鉄砲台(破壊)
以上がこの作品の条件である。
この空間の息苦しさは、これらを吹き飛ばし破壊するかの鉄砲台によって更なる恐怖を与える。解放感はなく、むしろ閉塞の不自由が漂っている。青空も突き抜ける空間(開口)というより他の画面と並置されることで、単に青空という概念に置換されている。
『自由の入口で』、わたし達は生活をしている。生きて在ることの制約はこのように『自由の入口』を塞いでいる。
入口は、カフカの『掟の門』と酷似している。
鉄砲の威力をもってしても開くことはなく、鉄砲に暗示される崩壊(死)によってのみ開かれる入口なのではないか。
自由の入口で彷徨えるもの、それが煩悩多き生きる者の条件である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
ジョバンニは、すぐ返事しようと思ひましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カンパネルラも、顔をまっ赤にして何か思ひ出さうとしてゐるのでした。
☆兼ねた字の旨(考え)を記した講(はなし)である。
信仰の釈(意味を解き明かす)のは、化(形、性質を変えて別のものになる)詞(ことば)を推しはかることである。
こんな無邪気な質問さえ口に出せないところをみると、お城ではあらゆることが疑わしく、また恐ろしい気がしているにちがいありません。
☆先祖の汚点の一つである罪のない論点でさえ口に出せないのでは、来世に現れるあらゆることは、いかにも疑わしく威嚇されるようなものに違いありません。