特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

サイレンさえ鳴らせば・・・

2005-03-25 23:24:11 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温零下1.7度。最高気温7度。今朝は久しぶりに厳しい冷え込み。

 おおかみ-しょうねん【狼少年】①狼に育てられた男の子。②イソップ寓話の主人公の一つ。いつも「狼が出た」と嘘をついていたため、本当に狼が出た時に誰からも信用されず助けてもらえなかった少年。転じて、いつも嘘ばかりついている人。

 このところウォン高の勢い留まるところを知らず。涙が出てくる。為替レートは「反日感情」の高まりに比例しているのか?と思わず勘繰りたくなる。
 最近の為替レートを振り返ってみると以下の通り(全て100円基準)。
 
 2/18 953.73ウォン
 2/28 942.93ウォン
 3/10 944.96ウォン
 3/16 943.37ウォン
 3/17 944.29ウォン

 そして、今日(3/25)銀行で両替したところ、レートが100/936.40ウォンで三万円が280,920ウォンにしかならなかった。あまりのショックで、銀行のカウンターで意識を失いそうになった。でも私は力を振り絞って椅子から立ち上がり、引きつる笑顔で銀行を後にした。

 しばらくの間、あまりのショックで意識が朦朧(もうろう)としたまま新村(シンチョン)の街を一人さ迷っていた。すると、突然のパトカーのサイレン音にはっと我に返った。スピード違反か?はたまた事件、いや事故か?と思わずパトカーに視線を向けた。するとパトカーは歩行者用信号が青の横断歩道を勢いよく通り過ぎると何事も無かったかのようにサイレン音を止めて、横断歩道の先で渋滞している車列の最後尾についた。パトカーの直前の車は渋滞の最後尾で、ずっと停まっていたわけだから、スピード違反の取り締まりでもなさそうだ。

 ぼんやりとした頭が従来の思考回路を取り戻した頃になって、ようやくパトカーが突然サイレンを鳴らした理由が解かった。歩行者が渡っている青信号の横断歩道を、車道の赤信号を無視して通り過ぎたかっただけなのだ。「そんなバカな!」と思われる方もいらっしゃるかも知れない。日本の常識からして、そう考えるのは当然のことだろう。しかし私がいるのはお隣の国だ。何があってもおかしくないのが韓国。なんでもありの韓国なのだ。

 私は今までも、Uーターン禁止の場所でパトカーが突然サイレンを鳴らしてUーターンをし、その後何事も無かったかのようにサイレンを止めてゆっくりと走り去った“現場”を幾度と無く目撃している。パトカーだけではない。救急車までもが、“同じような手”を使い、赤信号を無視したり、反対車線を逆走したりして、自分達だけ渋滞から抜け出そうとするのだ。

 そんなことに慣れてしまったドライバー達はどうするか・・・?答えは簡単だ。パトカーや救急車がいくらサイレンを鳴らして走って来ようとも、道を譲ろうとしなくなるのだ。もちろん全てのドライバーがそんな醜(みにく)い態度をとる訳ではない。ただ日本の場合に比べると、道を譲ろうとするドライバーの数が圧倒的に少ないのは確かだ。特にタクシーやバスのドライバーは一般車のそれに比べて、緊急車両に道を譲るという意識が一段と希薄なようである。サイレンを高らかに鳴らしたパトカーや救急車が自分のすぐ後ろに来ても、「我存ぜぬ」といった感じのドライバーが多い。

 そんな社会を反映してか、韓国の救急車のリアガラスには『(道を)譲って下さり、ありがとうございます』というシールが必ず貼ってあるのだ。パトカーには貼られていないのは警察の自尊心が許さないからだろう

 “自分さえよければ良い”という考えを改めない限り、この悪習は治まらないだろう。それにしても本当に緊急を要する時に支障が出るようでは、この国では迂闊(うかつ)に事件や事故に巻き込まれたら大変だ。安心して(?)急病にもなれないので、健康管理には日本にいる時以上に気を遣わねばならない。

 写真は韓国の一般的なパトカー(パゴダ公園脇の交番前で撮影)。

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