仙台バッハゼミナール

2000年4月24日、J.S.バッハの作品の解釈と演奏研究を通してその音楽への理解を深めることを目的として発足しました。

富田氏の特別講座 No.4 無事終了!

2019年05月29日 | 今日のゼミ

すっかり時間が経過してしまいましたが…

5月19日、仙台市内は良いお天気に恵まれ、「青葉祭り」でとっても賑やかでした。

そんな中、富田氏の講座で、またしても充実して楽しい1日を過ごすことができました。

前半は、《W.F.バッハのための小曲集》について、最初の3曲を取り上げて詳しく見てみました。10歳になる長男のフリーデマンのためにバッハが自ら書き出した、手作りの「音楽」と「鍵盤楽器」のための教本です。富田氏は、手稿譜(ちゃんと残っているんですよ)のコピーをきれいに製本したものをお持ちで、「1720年」という日付も残っています。1720年!今からまさに300年前に書かれた、父から息子への愛情溢れるテキストです。

この楽譜は、ほとんどの方がお持ちではありません。かく言う私も、持ってはいたもののどのように使ったら良いのかさえ知りませんでした。でも、この楽譜には、まずは音名、音部記号、指使い、装飾音…などなど、いわゆる初心者のためのページがあります。そして、平均律のプレリュードの初稿にあたるものやインヴェンション、シンフォニアのそれも載っています。しかも、それこそ、バッハがどのように息子に手ほどきをしていったのか想像できるような順番で。

そして、やっと私にも少し分かるような気がするのですが(幻影でないことを切に祈ります)、バッハの《インヴェンション》も《シンフォニア》も、決して単なるメソードではなく、まずは「音楽」そのものを理解するための大事な、そして創意に満ちたテキストなのですね。この《W.F.バッハのための小曲集》は、バッハの教育について考えるための大事な手がかりでした。ピアノを「弾く」ためではなかったのです。

それはともかく、前半はその中から最初の3曲を取り上げて、細かく色々とみてみました。トリルの持つ「意味」。指使いの不思議。なぜ、10歳の息子の最初のテキスト中3番目の曲が、コラール前奏曲なのか。そういうことをひとつずつ丁寧に考えていくことで、私たちは全く違う世界を開くことができます!

後半は、そのコラール前奏曲の出典であるカンタータを聴き、歌詞の意味を考えました。まず、カンタータをスコアを見ながら聴くことなんて、ほとんどありませんよね。この味わい深さは絶品でした。実は、ゼミでもつい先日、コラール前奏曲を少し弾いてみたところでした。そもそも「コラール前奏曲」って何でしょうね??皆さんも弾いてみてください♪

ということで、これからも、私たちの音楽への歩みは、少しずつですが続きます。 富田さん、本当にありがとう!

 


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