皆さま
聞いて下さい…ひどい話。昨年仙台で行われた某コンクールに私の生徒が臨みました。予選で(ちょっと心外(-_-))落ちてしまったんですが、その時に審査員だったM女子大音楽科の某特任教授が彼女にコメントした内容についてです。まさかこれが落とされた理由、ということではないでしょうが…それにしてもひどい。
先週のレッスンで、バッハの楽譜の話になりました。そしたら彼女が「実は…」と切り出したのが、その時のこと。平均律I巻のFis:フーガで、主題に付点8分音符(Th①ではcis音上)にトリルがついてますよね。それを彼女は当然、普通に「#レドレドー(シド)」と弾いたんです。そしたらその教授先生が「どうしてフーガのトリルを”普通に”弾かなかったのか」とのたまったそうです。
その”普通に”というのは、春秋社版に載っている弾き方「#ドーレドレド(シド)」のことなんですよ('_')そして、予選で彼女が聴いた他の参加者はほとんどがこの弾き方だったそうです…
たかがトリル、されどトリル。こんな基本的なトリルさえ、耳コピのまま疑問も抱かずに放置して、更にそれを”普通に”などと言い、おそらくは例によっての「楽譜に忠実に」というお題目に沿っての、この恥ずかしい発言。もしかして、未だに< >なども”忠実に”再現なさるのでしょうか。何か根拠があっての発言なら、きっとそのようにおっしゃるでしょうから…単に、昔習ったことをそのまま使っているとしか思えません。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」って感じでしょうか。いや、そんな意識さえ全くないのでしょうね…。
医学を始め、どんな研究分野でも、現場の人たちは「より良い」ものを目指して日夜励んでいるはずです。ピアノだって、ただ難しい曲を弾ければ良いわけじゃありません。しかも教える立場に立ったら、自分の発言にも責任があります。音楽に誠実に…せめて私たちは、それを出発点にして音楽に向き合っていきたいものだと、しみじみ思ったことでした。