仙台バッハゼミナール

2000年4月24日、J.S.バッハの作品の解釈と演奏研究を通してその音楽への理解を深めることを目的として発足しました。

多声曲についての講座報告

2020年02月29日 | 今日のゼミ

音楽を愛する皆さま

去る23日、コロナウィルス騒ぎがまだ静かだった、ぎりぎりのタイミングでした。宮崎晴代先生による「多声曲って何?」という講座を無事に行うことができました。20名もの参加者がいらしてくださり、充実した1日となりました。

13ページもある、カラーのネウマ譜も載った資料を準備していただき、超!駆け足で中世からバロックまで、多声曲の変遷を見たり聴いたり歌ったりしました。私たち、何とな~く、「モノフォニー→ポリフォニー→ホモフォニー」というイメージを持っていますが…昔々、グレゴリオ聖歌を教会で歌った時、彼らは確かに単旋律を歌ってはいたのだけれど、その響きの中にすでに5度などの倍音を聴き取っていたのかもしれません。現代の私たちは、あの当時の人たちよりずっと耳の感度が低いから、なかなか実感は湧かないかもしれないけれど。

        

クラシック音楽は、氷山の、水面下にある普段は見えない大きな存在が大切だと感じます。私たちがショパンの作品をピアノで弾くとき、そこにあるのは中世からの音楽の積み重ねの上に鳴っている音楽なのです。知らないことが多すぎますが、ワクワクしませんか?

 

ちなみに!別件ですが、前回のゼミの勉強会で話題になったインヴェンション10番のG-durの9/8。バッハのCorrenteの例として『Dance and the Music of J.S.Bach』のリストに載っていました。やはり舞曲として認識されていますね。ちょっと富田氏にメールしたら、すぐにお返事が返ってきました。すごいなぁ…。

また富田先生にも講座をしていただける日を楽しみに!


今年最後のゼミ

2019年12月27日 | 今日のゼミ

音楽を愛する皆さま(これ、桒形さんと同じ呼びかけになってしまっているんですが…他に素敵な言い方、あったら教えてください!)

今年最後のゼミも24日に無事終わりました。

特に9番が、版によっての違いで演奏の印象が全く違って面白かったです!8番も、上がっていったてっぺんの8分音符が次の16分音符につながるのか切れるのか…それもてっぺんの音をどのように感じるか、なんですが。

少しずつ、毎回のことをまとめていって、インヴェンションとシンフォニアの様々な解釈による演奏の発表会をやってみたいですね。

次回は1月22日(水)か、翌週の28日か29日でしょうか。こんども同主調の3番と4番。色々な版で見ていきます。

 

そして、忘年会というかクリスマス会も、ビルの所有者でもある野口先生をお招きして、持ち寄りの美味しいサラダやマリネ、焼き芋(!)、ケーキなどにピザを注文して、とっても楽しく、美味しく堪能しました。N-ovalサロンで、定期的にサロン集まりをしてみたい気もします。

2月、3月の講習会やワークショップについては、すぐにまたご連絡します。

まずはご報告!

 

 


富田氏の特別講座 No.4 無事終了!

2019年05月29日 | 今日のゼミ

すっかり時間が経過してしまいましたが…

5月19日、仙台市内は良いお天気に恵まれ、「青葉祭り」でとっても賑やかでした。

そんな中、富田氏の講座で、またしても充実して楽しい1日を過ごすことができました。

前半は、《W.F.バッハのための小曲集》について、最初の3曲を取り上げて詳しく見てみました。10歳になる長男のフリーデマンのためにバッハが自ら書き出した、手作りの「音楽」と「鍵盤楽器」のための教本です。富田氏は、手稿譜(ちゃんと残っているんですよ)のコピーをきれいに製本したものをお持ちで、「1720年」という日付も残っています。1720年!今からまさに300年前に書かれた、父から息子への愛情溢れるテキストです。

この楽譜は、ほとんどの方がお持ちではありません。かく言う私も、持ってはいたもののどのように使ったら良いのかさえ知りませんでした。でも、この楽譜には、まずは音名、音部記号、指使い、装飾音…などなど、いわゆる初心者のためのページがあります。そして、平均律のプレリュードの初稿にあたるものやインヴェンション、シンフォニアのそれも載っています。しかも、それこそ、バッハがどのように息子に手ほどきをしていったのか想像できるような順番で。

そして、やっと私にも少し分かるような気がするのですが(幻影でないことを切に祈ります)、バッハの《インヴェンション》も《シンフォニア》も、決して単なるメソードではなく、まずは「音楽」そのものを理解するための大事な、そして創意に満ちたテキストなのですね。この《W.F.バッハのための小曲集》は、バッハの教育について考えるための大事な手がかりでした。ピアノを「弾く」ためではなかったのです。

それはともかく、前半はその中から最初の3曲を取り上げて、細かく色々とみてみました。トリルの持つ「意味」。指使いの不思議。なぜ、10歳の息子の最初のテキスト中3番目の曲が、コラール前奏曲なのか。そういうことをひとつずつ丁寧に考えていくことで、私たちは全く違う世界を開くことができます!

後半は、そのコラール前奏曲の出典であるカンタータを聴き、歌詞の意味を考えました。まず、カンタータをスコアを見ながら聴くことなんて、ほとんどありませんよね。この味わい深さは絶品でした。実は、ゼミでもつい先日、コラール前奏曲を少し弾いてみたところでした。そもそも「コラール前奏曲」って何でしょうね??皆さんも弾いてみてください♪

ということで、これからも、私たちの音楽への歩みは、少しずつですが続きます。 富田さん、本当にありがとう!

 


充実した講座でした!

2019年04月21日 | 今日のゼミ

桒形先生の講座

参加者は、ゼミメンバーも数えると、ゆうに30名を超しました。なかなか機会のない、本当に貴重な時間だったと思います。これをきっかけに、仙台でも連続講座を企画できないかな、と考えております。東京では当たり前のように様々なチャンスがありますが、仙台では難しいですものね。

桒形先生でなければ聴けない話題…ルネサンス時代からのお話を交えて、Cはもともと4/4という意味ではなかったこと、「3」が完全で「2」は不完全な数であったことなど、面白いお話をたくさん伺いました。また、どんな作曲家の作品であれ、その母国語を分かっている人とそうでない人とは、演奏を聴くとすぐに分かる、ともおっしゃっていました。そう…音楽は言葉にほかならないのです。

具体的には、バッハの作品(今回は《平均律》が主でしたが)のテンポを考えるときのヒントや、ピアノで演奏するときの表現方法や装飾音の入れ方など、目からウロコのこともたくさん!

もちろん、この1回ですべてが分かるはずもなく、バッハへのアプローチの仕方は無限といっても良いほどたくさんありますが…こちら側から見るのではなく、やはりバッハの”前の”時代からのアプローチは大事だと思います。そこが、ピアニストにはちょっとハードルが高い。でも、そこを探るか探らないかで、全く見えてくる世界が違います。本当にバッハを、ひいては音楽を大事に思うのなら、そういう努力が必要だと思います。

 

先日、東京でバッハの《ロ短調ミサ》を聴いてきました。ヴォーカル・コンソート東京と古楽器のオーケストラとの共演で、なかなか良かったと思います。そして何より、私たちもバッハの声楽曲をもっと聴いたり、自分で歌ったりするべきだとつくづく思いました。

そのうち、カンタータを歌ってみたいですね。5月の富田先生の講座は、そのようなアプローチの仕方も含めて、バッハの作品にどう向き合っていくか、探っていく講座になると思います。桒形先生とはまた違った視点から、楽しくバッハに向かい合いましょう!5月19日(日)10:45~12:45、お昼(未定ですが…時間も少ないので、持ち寄りで、皆さん一緒に会場でワイワイと頂くのもアリ、ですね!)を挟んで13:45~15:45 です。会場は同じく山野楽器8Fホールです。


お祝い♪

2019年01月27日 | 今日のゼミ

皆さま、2019年も仙台バッハゼミナールをよろしくお願い致します!

 

さて、昨年最後のゼミのブログUPをしないまま年を越してしまいました。。今更ながらご報告を。

 

12月10日に2018年最後のゼミを行いました。

11月に平均律クラヴィーア曲集の研究発表がラストを迎えたので、今後の方向性を話し合いました。

インヴェンションを…というお声もあるかと思いますが、実際の演奏に繋げられるように、インヴェンションに限らずに色々な曲を取り上げてみようということになりました。

また、通奏低音や和声も勉強していきたいと思います。

そして、ゼミ後半は年末恒例のピザ会。

又、我らがバッハゼミナール代表のさえ先生が宮城県芸術選奨を受賞されたので、そのお祝いをさせていただきました。

写真の通りテーブルの上はバッハづくし♪

まるでバッハもお祝いしているかのようでした。

改めて、さえ先生おめでとうございます!


何と…2ヶ月音沙汰なしで失礼♪

2018年08月29日 | 今日のゼミ

少し暑さも落ち着いた感じがしますが…そんな27日(月)にゼミがありました。久しぶりの投稿ですm(_ _)m

6名集まって、いよいよ最後の発表となるII巻の24番について見ていました。プレリュードは特に、新バッハ全集に載っているロンドン自筆譜とアルトニコルの写本のどちらを取るか、によって音楽の表情がだいぶ変わりそうですね。

フーガは、典型的な二重構造(!?)かもしれません。理屈上で区切れるところと、弾いていて「区切れる」と感じるところが違ったりしています。第I巻にもよく出てきた、2つにも3つにも分けることができる(と考えられる)構造です。

それから、このフーガの出だしの音の動きが、どこかで聴いたことがあると思っていたら…《フーガの技法》の主題の、2つ目の音からの動きと似ているのでした。24番のfis-d-h-ais-h-cis....(h-moll)というのと、《フーガの技法》の(d-)a-f-d-cis-d-e....でした(^.^)

《平均律》が終わったら、コンサート…と思っていましたが、なかなか良いアイディアが湧かず。無理はしないで、とりあえずインヴェンションを中心にして、色々と探ってみましょう。尽きることのない、音楽の魅力。私たちは幸せね。 S


♪無事に23番も終了♪

2018年05月03日 | 今日のゼミ

皆さま

おかげさまで、5月1日の「平均律クラヴィーア曲集 研究発表会 Vol.26」も無事に終わりました。

新しいお客様もいらしてくださり、とても嬉しかったです。ありがとうございました!そして新メンバーも増えました!万歳!(^^)! 

本当に(全48曲中の最難曲のひとつであることは間違いない!)難しい23番も立派にできたと思います。佐々木さんの生き生きとした演奏も魅力的でしたね♪

つくづく思いますが…バッハの作品は、とにかく「読む」こと、そしてそこから自分で考えることですよね。そこから、演奏も、その後の作曲家たちの作品へのアプローチも自ずから見えてきます。

そのことが、音楽を創り上げる喜びに通じるのだと思います。

300年も前の音楽を、その通りに再現しようなんて傲慢もはなはだしい、と私は思います。そんなことできるわけないです。そうではなくて、現在の自分の言葉で、300年前に書かれた音楽をどれだけ誠実に語ることができるかを探っていくことです。「氷山の一角」とはよく言ったもので、その音楽の後ろには、私たちには一生かかっても決して知り尽くすことのできない、大きな大きな歴史-時の流れと、その時々に私たちと同じように一生懸命生きた人々-が隠れています。その大きさに、精一杯対峙することが音楽の表現ではないかと、最近は思うようになりました。

こんな素晴らしいロマンと向き合える私たちは、本当に幸せです。そして、バッハに近づくことが、そのためのとても大事な手段なのでしょうね。

あと1回で、とりあえず《平均律クラヴィーア曲集》を一段落させますが、道はどこまでも続きます。ご安心を。

その後は、ちょっと軽めに《小プレリュードとフーガ》あたりで楽しんで、いよいよ《インヴェンション》突入ですかね(^^)/

まずは、素敵なGWを。


富田氏の特別講座 in 昭和音楽大学

2018年04月23日 | 今日のゼミ

411日(水)18:40から,昭和音楽大学で富田庸氏の特別講座が行われました。

バロック音楽の研究者,演奏家をはじめ,一般の熱心なお客様,そして本学の教員や学生など

100名を超す受講者で,会場はとても良い雰囲気でした。

告知は3週間くらいしかなかったのですが主催の昭和音大ピリオド研究所のメンバーも驚くほどの

反応でした。

さすが☆

 

内容は,楽譜の編纂に関わる色々な興味深いお話。私もますますバッハが好きになりました♪

富田氏と一緒に。

 


4月17日のゼミ

2018年04月19日 | 今日のゼミ

出席5名。

見学の方がいらっしゃいました!

是非ご入会ください♪

 

さて、本日は5月1日の研究発表会の資料まとめをしました。

本来なら台本合わせのはずが作業が遅れていて皆さんご迷惑おかけしてすみません

 


4月4日富田庸氏講座終了

2018年04月04日 | 今日のゼミ

沢山のお客様にお越しいただき感激でした。

 

前半は研究者の視点より、平均律を初校と見比べどのように読み解くのかを解説いただきました。

 

休憩(ティータイム)を挟んで後半はリラックスムードで。

平均律第2巻23番プレリュードと詩篇の共通についてお話をしていただきました。

 

富田さんのピアノを弾く姿、愛らしく素敵でした。