労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

学力テストは中止するしかない

2008-11-30 00:20:17 | Weblog
 学力テストはもともとは全国的な教育内容の達成度を測定するという名目で導入されたのだが、根強い反対論に留意して、不生産的な競争を排除する配慮が約束されていたはずである。

 ところが数年をへずして、政府・文科省の約束は反故にされている。

 大阪府の成績がかんばしくないということから、大阪府では学力テストの成績をあげるために、なりふり構わないことが行われようとしている。

 この問題が深刻なのは、“大阪の狂気”を、一部のマスコミがおもしろおかしくとりあげ、“平成維新”などと賛美していることだ。

 たしかに、法律では地方公共団体に競輪・競馬・競艇を開催することを許容しているが、自分の自治体の住民が“損”をしないように、自治体が住民を対象に競馬必勝講座等を無料で開催して、勝ちそうな馬を内緒で教えることまで許容はしていない。

 “受験競争”と呼ばれる、進学のための選抜競争は、公的なものである(選抜試験の成績が優秀なものから入学を許可するというのは、希望者全員が希望する学校に入学できるという状態にないかぎり、多少の合理的な根拠がある)が、その競争に勝ち抜くための努力は私的なものであるし、あり続けなければならない。それでなければ試験の公平性が保たれない。

 ならば、いっそすべての都道府県が大阪のまねをすればいいというが、テスト(全教科ではなく、算数や国語といった特定の教科)でいい成績を取るということは、個人もしくは子どもの保護者の目的であっても、けっして教育をする側の目的ではないのである。

 ましてや、大阪府の成績がふるわないことを“ダメ教師”のせいにして、大阪府知事の逸脱行為に荷担しない、つまり、偏った詰め込み教育政策に賛同しない教師を職場から排除しようなどというのは狂気の沙汰であろう。

 学力テストをめぐる騒動がここまで大きくなった以上、現行の学力テストは今年かぎりで中止するほかないであろう。