労働者のこだま(国内政治)

政治・経済問題を扱っています。筆者は主に横井邦彦です。

不可解

2008-11-21 04:49:38 | Weblog
 突如(とつじょ)として、小泉純一郎氏が「テロは民主主義国家では許されない」うんぬん、と声明を発表している。

 よく考えてみると、この文言は自民党の加藤氏宅が右翼に放火されたときと同じである。

 あの時は、政府が右翼の放火テロに対して、しばらく沈黙を守っていたので、われわれが「なぜ沈黙しているのか、そういう態度は統治責任者としてどうなのか。これではテロを容認していると受け取られても仕方がない」とこのブログで警告をした後で、ようやくだした声明だった。

 しかし、今回、彼は、自ら進んで、それを行っている。

 しかし、現在の小泉純一郎氏にこのような発言をわざわざする必要があるのだろうか?彼はもう日本国の“統治責任者”ではないし、もうすぐ国会議員を引退する身ではないか?

 「障害者自立支援法」や「後期老齢医療制度」といった自分の行ってきた厚生行政、もしくは、福祉の破壊には、一切口を閉ざしているくせに、こういう頼まれもしないことに、わざわざ「そんなの関係ねえ」などという必要はないであろう。

 誰かが、狙われた二人の厚生事務次官は二人とも小泉純一郎氏が厚生大臣をしていたときの部下であったのだから、小泉純一郎氏が「容疑者第1号」であるなどということをいったのか?

 そんな人間などいるはずもないし、われわれもそんなことは言っていない。(第一、この二人の元厚生事務次官が年金局長と年金課長にあった85年から小泉氏が厚生大臣になる88年の12月まで厚生大臣は何人も変わっている。)

 先日のわれわれのブログで小泉純一郎氏に言及したのはただの一個所だけである。

 「小泉政権のもとで、右翼と自民党は蜜月時代を築いてきた。右翼は自民党に接近し、自民党の国会議員の一部は右翼思想に共鳴して、両者の融合は進んだ。」

という部分であるが、これは単に歴史的な事実を述べただけだ。事実、20日の『日本経済新聞』には、田母神氏が統合幕僚学校長時代(2003年ごろ)の講師の名前が発表されているが、このうち何人かは「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが含まれている。

 もちろん、統合幕僚学校という自衛隊の中枢部にまでふだつきのチンピラ右翼が進出できたのは、右翼と政権政党である自民党の融合なくして不可能であったのだが、この時の“統治責任者”、つまり、内閣総理大臣は一体誰なんだ?

 しかし、それにしてもだ。われわれはただ事実を事実として述べているだけなのに、それと今回のテロを結びつけて、「オレはやっていない」などとわざわざいうのは少しおかしくありませんか。

 また、これは関係ない話だが、われわれのブログをとりあげて、今回の事件で“戦犯”といった右翼はいない、とわざわざテレビで言った人もいたが、どういうわけかその人は今回の事件の早い段階で、これは“天誅”(てんちゅう=天に代わって罪ある者を攻め討つ)であるといった右翼がいたことを忘れている。

 いずれにせよ犯人が逮捕されれば、すべてが明らかになることだ。