しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「カリフォルニア物語」 Studio Life他 プロデュース公演

2008年03月12日 | 観劇
2008・2・27(水)~3・9(日)  銀河劇場
テレビ東京・Studio Life・銀河劇場プロデュース公演
原作 吉田秋生  脚本・演出 倉田淳

青い空、緑の大地、光り輝くカリフォルニア。
だが、カリフォルニアだっていいことばかりじゃない。
父との確執、兄へのコンプレッスなど、さまざまな人間関係の鬱屈を振り切ろうと、
高校をドロップアウトしたヒースは冬のニューヨークにやってきた。
相棒で同居人のイーヴ、悪友ブッチ、その妹で恋人のスウェナ・・・・・・・。
灰色の空のもと、大都会の片隅でひとつの青春が始まった。
                〈チラシより〉

<ストーリー>
家を飛び出してカリフォルニアからニューヨークへ向うヒース。
途中で泊まった町でスリのイーヴと知り合う。
ニューヨークからカリフォルニアへ行く事を夢見ていたイーヴは、助けてくれたヒースに付いてニューヨークへ戻る。
以前、カリフォルニアで知り合ったインディアンを訪ね、安いアパートを紹介してもらったヒースはイーヴと一緒に暮すことになる。
ヒースは母親のいない家庭で育ち、厳格な父親と優秀な兄スワンソに反発を感じていた。
悪い友人と付き合い麻薬中毒にさせられそうになる。
そして、スワンソの婚約者スージーに恋心を抱いていたヒースは家を出ることにしたのだ。

ある日、イーヴが義理の兄に連れ去られ、イーヴが男娼だったことをヒースは知る。
過去を知られたイーヴは戻ることを拒むが、ヒースは連れ戻す。
しかし、イーヴが向ける愛情にヒースは答えることは出来ない。
やがて、途中の町で知り合ったブッチとスウェナの兄妹もニューヨークにやって来る。
ヒースとスウェナは恋人になる。

ブッチは金に困り、イーヴを手伝わせて盗みをするが見つかり、イーヴは警官に撃たれる。
イーヴの怪我を、ヒースはカリフォルニアで親身になってくれた父親の友人の医者を呼んで見てもらう。
イーヴが良くなった頃、ヒースの兄のスワソンが訪ねてくるが、何かを伝えられずに帰っていく。
そして、スワンソの事故死の知らせが届く。
葬儀でヒースは母親と再会、父親と和解もする。
ニューヨークではスウェナがイーヴに、自分はヒースに愛されていないと苦しみをぶつける。
そして、イーヴの恋心も見抜いていた。

ヒースが帰って来た時、イーヴは家を出ていた。
「僕は馬鹿なオカマです。違うと思っていたけれどやっぱりそうでした」
そして、記念にヒースがスージーからもらったクルスをもらっていく、と置き手紙を残していた。
そのイーヴがホテルの7階から落ちて死ぬ。
一緒にいたという男に殺人の容疑がかかり、ヒースが疑われる。
ヒースはピートという男を突き止める。
イーヴが死んだのは、クルスをピートがふざけて取り上げたのを、取り替えそうとしたからだった。
窓の桟が腐っていて壊れて墜落したというのだ。
「そんなことで・・・・」と悲嘆にくれるヒースはやがてニューヨークを去っていった。


<感想>
出演者の3分1はスタジオライフの役者で、チームがメインでは2チームだが、
スクランブルチームもあり、そのひとつはメインキャストがほとんどスタジオライフ。
ストーリーもライフっぽかった。
Wで組んでいる人達もなんとなく似た感じの雰囲気だった。

原作は読んでいないのだが、ストーリーは青少年の成長物語。
主人公のヒースが色々な愛に悩み、葛藤して成長していくもの。
かなり盛りだくさんの内容だったので、原作もまた長編だったのだろうと推測される。
若いって、こういうことなんだろうな、と見守るような感じで見てしまうのは自分がとうに過ぎてしまった年代だからだろう。
タイトルはカリフォルニアだが、舞台はニューヨーク。
だから、イメージでいうカリフォルニアの明るさはなく、ニューヨークのちょっと屈折した息苦しい感じのストーリー。
でも、登場人物は誰もが優しく、相手を思いやる気持ちを持っている。
だからこそ素直になれなくて、かえってギクシャクしてしまうような、見ている方がちょっと歯がゆい感じもある。
それが青春か、なんてね。
そして、生バンドを入れての音楽劇でもあった。
最近、音楽劇に触れることが多いけれど、今流行りなのだろうか。
結構このシーンに歌が合うと思われるところと、ここは特になくてもいいのでは、というのがあった。
使われている楽曲はオリジナルではなく、70年代のポップス&ロック。
知っている曲が多かったが、タイトルまでは知らない。音楽には疎いから、それでも聴いたことのある曲たち。

<役別感想>
ヒース・スワソン
林剛史/岩大
ストーリーから受けるヒースは林さんの方がしっくりした。
大さんは嘆き方や苛立ちに上手さを感じるので、林さんの方が新鮮だったのかも知れない。

でも、ヒースはカリフォルニアにいた時は結構真面目過ぎて自分を追い詰めている、どちらかというと暗い感じがするのに、ニューヨークに来てからは脳天気になっている気がする。

イーヴ・ルチアーノ
中川真吾/松本慎也
どちらも可愛いイーヴだが、中川さんの方が何知らない無知な男の子という感じ。笑顔が無防備で可愛い。
松本さんには知性が見えるし、結構意思の強さも感じられる。

イーヴって結局何だったのだろう。
カリフォルニアに向う途中でお金がなくなって留まっていた町でヒースにあったら、NYに舞い戻ってしまった。
カリフォルニアへ行きたい気持ちより、ヒースに一目惚れした気持ちも方が強かったから。
でも、ヒースはノーマルなのだから、上手くいく可能性は低かったし、実際そうなってしまった。
そして、スウェナは恋のライバルなのに優しいし。
イーヴの存在は可哀想過ぎる。

スウェナ・ランバード
伊礼彼方/及川健
及川さん、久し振りのヒロイン役。
伊礼さんは長身なので、及川さんとは印象が違った。
NYに来た時に成長して大人の女性になっていたのは及川さん。
というか、どうして伊礼スウェナは髪型も衣装も同じだったのだろう。

スウェナは自立している強い女性。
恋に恋していた感じで、特にヒースでなくても大丈夫だったのではないかと思える。
錯乱した時に恋敵のイーヴが気を使うが、スウェナならひとりでも立ち直れたと思う。

テレンス・スワソン
三上真史/HILUMA
ヒースのお兄さん。
この2人はよく似ていた。
優秀で、ヒースが嫉妬している感じだったが、お兄さんというより父親の様に見守っている感じがあった。
ヒースが思いを寄せる自分の奥さんにも、多少不安な気持ちがあったようだが、それを表さずに信頼の目を向けて気がする。
自分の思いを閉じこめるタイプで、悩みの多かったのではないだろうか。
死んだと聞いた時、始めは自殺したのかと思った。
睡眠不足による交通事故だったらしい。

シャーロット
吉田隆太/多田直人
ヒースの母。
多田直人さんは今回ライフ以外の出演者の中で唯一知っていた、キャラメルボックスの役者さん。
女役は綺麗だった。
多田ママは憂いと寂しさがあった。優しいママ。
吉田ママは気品と気高さ。気が強そうなママ。
これは娼婦のマリアン役の時も同じように感じた。役の年齢としては吉田さん方が、随分若く見えた。
多田さん24歳、吉田さんは2004年入団だから同じ位かな。

離婚の原因が分からないけれど、憎み合ってではなく、まだ小さいヒースを置いていったと言う事は自分の中の追いかけるものがあったという事なのか。
強い女性だと思うが、それなら、そっと見ていないで声を掛けてあげればよかったのに。
ヒースはともかく、テレンスは辛かっただろうなと思った。
「孤児のミューズたち」が頭に浮かんだ。

スージー
仁田宏和/栗栖裕之
この2人もよく似ていた。
しかし、この役は関戸博一さんにぴったりと思ってしまった。
そう思うと、頭の中では関戸さんが演技している。
始めに見た仁田さんが関戸さんに似ているかなーと思ったから。
そういえば、多田さんも「サボテンの花」の時に関戸さんを思い出していたような。仁田さんと多田さんは似ている、かな。

スージーはこの物語のオアシス。

ケーシー
金景太/三浦孝太
アフロが印象に残っている。
アレックスとコンビなのだろうけれど、あまり活躍する場がなかった感じ。

アレックス
兜政孝/荒木健太朗
こちらも面白いキャラクターで、色々活躍していそうだけれど、この時間の中ではあまり出番がない。
アレックスで驚いたのは、荒木さんがすごく堂々として役になりきって演じていたこと。
それはトークショーで話を聞いたことにもよるのだが。
なんだかいつまでも始めの印象が残っていて、見る度に驚いていてはいけない、気持ちを切り替えないと、荒木さんに失礼だ。実績あるんだから。

リロイ
野島直人/廣谷航
あまり区別のつかない2人、申し訳ない。
リロイという人物は、行動や言動からすると、もっと大男でゴツイ感じが浮かんでしまう。
そして、ヒースを見守っているから余計大きいというイメージがある。
実際はヒースより小柄、ヒースが2人とも大きいからなのだが、なんとなく落ち着かない気分だった。
恋人っぽいルシンダも2人とも大きくがっちりしているので、どうもリロイの影が薄くなる気がした。

インディアン
曽世海司/佐藤滋
世話好きで自由に生きているインディアンは曽世さんにぴったりの役。
でも、佐藤さんのさらりとした感じもよかった。はとても包容力があるインディアンだった。
ストリーテーラー的な台詞もあったけれど、状況を説明するのはあまり要らなかったかも。
他のシーンも説明なくても付いていけたので、他の部分も大丈夫だったと思うから。

マイケル・スワンソン&ルシンダ
藤原習作/石飛幸治
厳格な父親とポルノ女優という全然違う役を見事に演じていた2人。
石飛さんは今までも見ているので、想像通り。
藤原さんは始めにマイケルを見たので、別チームのルシンダがどうなるのか、2回目の興味の1番だった。
結果、藤原ルシンダはとても妖艶に綺麗だった、凄い。
その前に個性的な石飛ルシンダを見ているので、そのイメージで待っていられたのも良かったかも知れない。
ヒースの叔母さん役も見事に女性だった。
父親のマイケルも厳しいといいつつ、愛情が垣間見られる。

ブッチ・ランバート
tekkan/カサノーボ晃
この2人も似ていたのだが、ブッチの役より、ピートとヒースに麻薬打った友人のサイファンに少々差が見られた。
ピートのこそこそした感じや、苛立ちをもったサイファンが個性的だった。
この2人は歌の方が専門ということだが、演技も充分に個性が出ていてよかった。


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