しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「満願」 米澤穂信 

2016年10月16日 | 読書
「満願」  米澤穂信   新潮社    

6編からなる短編集。

「夜警」
警察学校を出て、最初の配属先の交番勤務で殉職した川藤巡査。
妻を相手に刃物を持って暴れる夫を制圧しようとして切り付けられる。
川藤巡査は、その男を射殺していた。
同じ交番に勤務していた柳岡巡査部長は、「あいつは警官に向かない男だった」と呟く。

「死人宿」
自分の前から失踪した恋人が、山奥の温泉宿にいる事を捜しだして赴く。
そこは『死人宿』と呼ばれていた。
近くに、火山ガスが溜まる窪地があって、自殺志望者が来るのだと言う。
この時も、遺書が落ちているのが発見される。

「柘榴」
離婚時の子どもの親権を、一緒に暮らしていた母親ではなく父親が獲得。
母親は、思いもしなかった虐待を告げられる。

「万灯」
資源開発の為、バングラデシュに勤務する男2人が、仕事の為に殺人をする。
1人が弱気になり日本に帰る。
もう一人は口封じの為、その男を殺そうと追い掛けて日本に来る。

「関守」
山道でカーブで死亡事故が続くと言う都市伝説を取材に来た記者。
近くの休憩所のばあさんは、その事故について色々知っていた。

「満願」
自分が学生の時に世話になった、下宿屋の奥さんが殺人の罪に問われる。
弁護士になった自分が、弁護を務める自己防衛は認められなかった。
まだ争う余地はあると思ったが、控訴はしないと言う。








雰囲気の違った短編集。
それぞれ謎解きがあるが、謎解きの為の物語といった感じも。
だから、物語の雰囲気は変わっても、人間はあまり深くない。
「死人宿」は『名探偵コナン』みたいだ。
その場に居合わせて、謎を解く物語そのものも。
謎解きの過程や、解決方法もコナンぽい。
「柘榴」はとても不気味な話。
こういう感情は、あまり好きではない。
「関守」も、割とよくあるパターンかも。
直ぐにおばあさんが怪しい、と思った。
そう思って読んでいると、また違った怖さがあるけれど。
「万灯」も内容は凄いが、何だか漫画チック。
結局、自業自得。
悲惨だけど、軽い。
「満願」も、感情的にあまりすきっりしない物語。
ノスタルジックな雰囲気があるけれど。
いまひとつ面白味を感じなかった。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本ハム、日本シリーズ進出 | トップ | 「希望荘」  宮部みゆき  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事