しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「殺人容疑」 ディヴィッド・グターソン 

2007年11月27日 | 読書
1954年9月16日。
アメリカ、約5000人が住むサン・ピエドロ島のホワイト・サンド湾で一隻の刺し網漁船<スーザン・マリー>が漂っているのが発見される。
そしてその船の漁師、カール・ハインが漁網に絡まった死体で発見される。
そして、同じ頃船を出していて、土地のことでカールと争いがあったとみられる日系アメリカ人のカズオ・ミヤモトが殺人容疑で逮捕される。
12月、おりしも18年振りの大雪が降る中、裁判が開かれる。
その様子をタラワ上陸作戦で片腕を失った新聞記者、イシュマエル・チェンバーズが見つめる。
イシュマエルとカズオの妻ハツエは戦争の前は若き恋人どうしだった。

原題「SNOW FALLING ON CEDARS」は『ヒマラヤ杉に降る雪』 


裁判を追いつつ、過去にあったことが書かれていく。
それは、登場人物の半生、日系人が暮らすサン・ピエドロ島の歴史。
日系の人達の考え方、受け入れているアメリカ人の考え方が丁寧に書かれていて読み応えがある。 
偏見の気持ちを持たずに、人間の本質だけを見ていける人もいる。
しかし身内を戦争で殺されたら、その相手と同じ顔をした人をなんのわだかまりもなく受け入れられるかと考えると、結構難しい感情だと思う。
偏見や差別やよくないと分かってはいる。
人種の違いは習慣の違い。それを受け入れることの大切さ。
移民した人たちは唯でさえ大変なのにそこに戦争が入り込んでしまった。
ひとつの歴史としても興味深い物語。 
歴史を知ることは必要だと思うから。
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