しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「殺気!」  雫井脩介 

2009年11月24日 | 読書
「殺気!」  雫井脩介     徳間書店

佐々木ましろは多摩学院大学に通う20歳の大学生。
地元、多摩が丘駅近くの健康食品の店でアルバイトをしている。
ある日、その店に強盗が入るが、ましろはその強盗の殺気を感じ取り、無事対処することが出来た。
ましろは小学5年の時、公園で遊んでいる時に連れ去られ監禁される経験をしていた。
かなりのショック状態で、その後のカウンセリングでその記憶を封印する。
その頃から、殺気を関知出来る様になったのかも知れないと、ましろは思う。
ましろはその殺気を感じた事故で、小学生の時親友だった野辺理美子と再会する。
理美子はましろが連れ去られ事件と同じ頃に父親を事故で亡くし、それから疎遠になっていた。
この出会いから、ましろは連れ去られ事件が気になり始める。



子ども頃に異常な経験をしたましろが主人公だが、ごく普通の女の子。
成人式の様子や、擬似ファッションショーの準備など、青春物語のよう。
それに少しずつ、連れ去られ事件が入り込んで、謎を知りたい気持ちが高まっていく。
真相は分かり、その過去の事件は納得は行く。
しかし、それに対応するましろの考えはいまひとつ、配慮が足りない感じ。
事件のラストの理美子に対する態度もが、ちょっと自分の考えとは合わなかった。
ましろは、何でも事実は知った方がいいと考える人だが、人によっては違うだろう。
知らないままの方がいいこともある。
ましろはそれをあまり考えることもなく、感情のままに口にしてしまう。
それは自分の考えを押し付ける形になる。
尾形を説得するシーンは、とてもよく人の気持ちに優しく接することが出来る人だと思っていたのだが。
急に子どもっぽい対応に驚かされた。
そして、理美子の性格もかなり危ないものを感じるのだが。
何かあったら直ぐに殺されそうだ。

しかし、殺気でも何でもそうかも知れないが、他人に感情を始終感じていたら、精神がもたないだろう。
エスパーは、そういう感情を受け取るのをシャットアウトする力がないと、やっていけない。

ましろの能力が発揮される物語かと思ったが、そうでもなかった。
雫井さんと言うことで、もっとサスペンス度が高いかと思っていたので、ちょっと物足りなさが残った。
雫井さん、始めの頃と作風が変わった。


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