おとこのひとが言っていた
そのひとにはすきなひとがいた
ふたりとも、私の知っているひとだった
おとこのひとはそのおんなのひとの人間性に惹かれていた
あるひ、おとこのひとは、そのひとをデートに誘う
デートといっても、特別どこかへ行くのではなくて
どこなのかはわからないけれど、花を見に行った。
ピンク色がたくさんだったから、コスモスかもしれない
ふたりは黙って花を見ていた
おとこのひとは、花を見るおんなのひとのことも、見ていた
それはやさしい風景だった
おんなのひとは純粋に花を楽しんでいた
じいっと見つめていた。たのしそうだった。
夢中だった。
おとこのひとは自分から帰ろうと切り出すタイミングがわからなくて
ながいこと、そこにいた。
そして、おんなのひとがはっと気づく
どうやらもう満足したみたい
そんな雰囲気を読んで、彼は帰ろうとこえをかける
そんな夢を見ていた。
私は、第三者の目線だったのだろうか、おとこのひとの目線だったのだろうか
よくわからないけれど、
いとおしい時間だった。きれいな風景だった。