「すこし見てたら流れるよ」
変わらない感じであのひと そう言った
「おまえのすこしはすこしじゃない」
なんかおかしくて 笑った
ひとつ、ふたつ、数えた星を
わたしはひとつも 落としたくなくて
そらをみてるあなたの横で
あふれた星を ひろってた
なくさないように わすれないように
ダッフルコートのポケットに
すこしはえいえんならいいのにな
いまのそら、くうきごと全部
写真みたいにとじこめられたらいいのに
そしたらずっと おもいだせる
そうすればきっと かなしくないよね
そのあいだにも 星は流れて
これ以上ないくらいの綺麗なそらは
まばたきの速度で更新されてく
わたしは流れ星、すきじゃなかったよ
だってあんまりはやく 消えてしまうから
哀しくて涙でそうになるけど
そのなかに容赦なく 別の星がひかる
あのひとは何も言わないで そらを見てた
うれしいのかたのしいのか わたしにはわからなかったけど
きっと ほんとにそらがすきなんだろうなあ
そんな景色をみたくてわたしも
すこしだけ せのびした
あいかわらずに朝は来て、部屋にもどって
ポケットから 星を出す
わかっていたんだけど それは
そらにあったから あんなに綺麗だったんだよね
わたしのうでのなかでは つめたく暗くて
もう二度と 光ることはない