金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ファイナンシャル・アドバイザーは直言すべし

2021年08月27日 | ライフプランニングファイル
 アメリカの金融専門紙BarronsにWhat can older clients do if they haven't saved enough for retirement?「老齢の顧客が退職に備えて十分な貯蓄を持っていなければ彼らに何ができるか?」という記事が出ていた。
 記事は数名のファイナンシャル・アドバイザーのアドバイスを列挙しているが、ざっと読んで私が一番印象に残ったのは次の一言だった。
 あるアドバイザーはこう述べていた。
「私は持って回った言い方はしない。私は顧客が真実を知りそれに基づく意思決定ができることを評価すると考えている」
 つまり顧客の家計の状況をつまびらかにし、このままの暮らしを続けていくことが可能かどうかを明確に示し、不可能な場合はどうすれば良いかというプランを示し、できるだけ早く顧客に方針決定させるのがファイナンシャル・アドバイザーの役割という訳だ。
 複数のファイナンシャル・アドバイザーの意見には共通点がある。
第一に「支出からスタートする」という点だ。家計の支出の中で一番大きなものは住宅に関連している。つまり大きな家に住んでいるとガーデニング費用だとか不測の屋根の修理費だとか支出がかさむ。アメリカの場合顕著なのだが、住んでいる地域により住民税が随分違うことがある。だから多くのアドバイザーは退職後家計の支出が収入(年金+金融資産の計画的な取り崩し)を上回る場合、まず自宅のダウンサイジングを含む住み替えを提案するようだ。
 次に別荘など売却可能な資産を洗い出し、使わない資産を売却することを薦める。
 第三は生命保険や子どもへの支援の見直しだ。私の昔の知識は、アメリカでは学校を卒業した子どもはサッサと職に就き親元を離れて暮らすというものだったが、今は相当変わっていて就職しもて親と同居している子どもが増えているという。親のすねをかじっている子どもも増えているようだ。ファイナンシャル・アドバイザーは、自分の老後のことを考えるのが第一だと述べている。
 第四は老後資金の不足をカバーするには65歳を超えて68歳位まで働くことを考えてはどうかというアドバイスもある。またリバースモーゲージの活用を提案するアドバイザーもいる。
 金融と不動産市場が発達しているアメリカの退職者は日本より選択肢が多い。引っ越しを厭わない気風も住み替えや自宅のダウンサイジングの選択肢を増やしている。
 選択肢が多いのでお金持ちでなくてもファイナンシャル・アドバイザーを使う人は多いようだ。
 私自身は個人の方のファイナンシャル・アドバイザーを行っている訳ではないので詳しいことは分からないが、一般の退職者の中で自分でお金を払ってFPからアドバイスを受けている人はほとんどいないだろうと考えている。
 証券会社・銀行・不動産会社が行う無料の相談などを利用する人は多いと思うが。
 だが無料相談には二つの問題があると私は考えている。
一つは自分が属するあるいはスポンサーになっている企業のプロダクツに誘導する可能性が高いということだ。
二つ目は相談者の全体的な家計収支や資産負債バランスあるいは家族間の問題まで踏み込んだ上でもアドバイスが行えないという点だ。
 相談者側も一元のFPに洗いざらい話をすることに抵抗があるだろうし、FP
側も包括的なアドバイスに慣れていないという問題もある。
 だが本当に自分の老後資金に不安がある場合は、アメリカのファイナンシャル・アドバイザーが述べているように「率直な物言い」で生活設計を見直すようなアドバイスを受けることが望ましいのだろう。
 興味深いことはこの記事の中に資産運用の話が出てこなかったことだ。つまり退職年齢に入ってからの資産運用はあまり役に立たないし、役に立たないものを期待することは生活設計を誤らせるということなのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グーグル、マイクロソフトがサイバーセキュリティ強化に100億ドル単位で投資を約束

2021年08月26日 | 投資
 CNBCによるとホワイトハウスはIT業界や保険業界などのトップとサイバーセキュリティに関するサミット(トップ会談)を行った。これは昨今パイプラインなど重要なインフラをターゲットとしたサイバーアタックが増えていることでアメリカ政府がサイバーセキュリティ強化の必要性を痛感していることによる。
 記事によるとサイバーセキュリティ要員は50万人も不足しているということだ。バイデン大統領は最近政府機関に対して、ログイン時に二段階認証を使うことを指示する大統領令に署名した。
 業界スタンダードの作成やセキュリティツールの強化、人材育成など課題は多い。
 グーグルやマイクロソフトは大統領とのミーティングの後、サイバーセキュリティに100億ドル単位の投資をすることを発表した。
 グーグルはサイバーセキュリティ投資に向こう5年間で100億ドル以上投資し、ITサポート等の分野で10万人以上のアメリカ人にトレーニングを実施する予定だ。
 マイクロソフトはより進んだセキュリティツールを届けるために5年間で200億ドル投資すると約束した。また同社は政府機関がセキュリティシステムをアップグレードするのに1.5億ドル投資するだろうと述べた。
★  ★  ★
以下は私の感想
グーグル、フェイスブックなどIT大手と政府の間には独占問題を巡って対立が激しい(マイクロソフトは現在は独占問題を一応クリアしていると思われる)。
一方サイバーセキュリティ強化やIT要員のトレーニングには、大きな資本と人的資源を抱えたIT大手のコミットメントが必要だ。IT企業が巨大化して価格決定力を高め、消費者に不利益を与える可能性と巨大化したIT企業によるセキュリティ対策の強化はトレードオフにあるのだろう。
 今回ホワイトハウスがIT大手に協力を求めたことは政府や関係団体のFAANGに対する風当たりを緩和するきっかけかもしれない。個人的感想だが。  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナスダック、小兵勢の健闘で15,000の大台越え

2021年08月25日 | 投資
 昨日ナスダックは77.15ポイント(0.52%)上昇して15,019.80ポイントで引けた。高値更新であり、節目の大台越えである。
 興味深かったのは、ナスダックの大物アップルとマイクロソフトの株価が冴えなかった中、小兵勢の株高で指数が上昇したことだった。
 昨日アップル株は0.06%、マイクロソフトは0.67%の下落。
 アマゾン株やフェイスブック株は上昇したものの、それぞれの高値よりは安いところで取引されている。ビッグネームで高値を更新したのはアルファベット位だった。つまり相場を押し上げたのは多くの小兵勢だった。
 最近のインデックスの動きは少数の大型株の動きに左右されてきて、幅広い銘柄の上昇が見られなかった。昨日はこの傾向の逆だったが、市場の裾野の拡大を好感する声が上がっていた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ファイザーワクチンの正式承認でナスダック新高値を更新

2021年08月24日 | 投資
 昨日(8月23日)FDAアメリカ食品医薬品局はファイザーとBioNTeckのコロナワクチンを正式に正式に承認した。
 ファイザーのワクチンは昨年12月に緊急使用のために許可されていたが、今回正式に使用が承認されたもの。
 正式に承認されたことでワクチン接種に及び腰だった人のワクチン接種が増え、コロナウイルス感染拡大に歯止めがかかると考えられるため、株価は続伸し約1.5%株価が上昇したナスダックは新高値を更新した。
 なおワクチンの正式承認でワクチン接種を従業員に求める会社が増えそうだ。
 やがて日本でも同じような動きが高まるだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

指紋認証の欠点はパスワードを忘れてしまうこと

2021年08月23日 | デジタル・インターネット
 スマートフォンからインターネットバンキングなど取引を行う時、指紋認証を使っています。概ね便利なのですが、パスワードを忘れてしまうという欠点がなきにしも非ずです。
 スマートフォンからの取引ならパスワードを忘れていても平気なのですが、まれにパソコンから手続きをしたいと思う時、パスワードを変更しその記録を保存していなかったことに気が付いて慌てたということが一度ありました。
 どうしてそのようなことが起きたか?というとスマートフォンで取引している時、「パスワードが長らく変更されていないので変更してください」というメッセージが出てその場でパスワードを変える⇒後で自分のパスワード管理簿を書き換えようと思いながら忘れている⇒指紋認証を行っているので新しいパスワードは使わない⇒新しいパスワードを忘れてしまう、というようなことです。
 一方全般的にはベンダー側もパスワードの失念⇒再設定に比較的寛容?になり簡単な手続きで再設定ができるところが多くなっていると感じました。
 これはパスワードを失念する人が増えているからかもしれません。個人的な推測ですが。
 なおお役所関係はパスワードの再設定のハードルが高いところが多いようです。DXを進める上で少し下げた方が良いのではないか?と私は感じていますが如何なものでしょうか?

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする