金融そして時々山

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米紙、日興の上場廃止を強く示唆

2006年12月19日 | 株式

日興コーディアルグループの不適切な利益計上問題が大きく報じられている。同社は有価証券報告書を訂正し、連結利益を25%、118億円減額する。東京証券取引所は日興株を上場廃止の可能性がある監理ポストに割り当てた。・・・・・というのが日経新聞などの論調だ。

実は私は日興コーディアルとは長い付き合いがある。株の売買は日興コーディアルを通じて行なうことが多いので多少の株を預けている。更に秋口まで同社の株を僅かながら保有していた。その株については余りにパフォーマンスが悪く、回復見込みがなさそうなので損を出して売り、国際優良銘柄に乗り換えた。無論のその時点で日興の不正経理の問題を知っていた訳ではなく投資銘柄の入れ替え作戦以外の何者でもなかったが、今思うと実にラッキーだった。以上のようなことから日興問題についてはかなり関心が高くウオール・ストリート・ジャーナルの記事にも目を通してみた。

ウオール・ストリート・ジャーナル(アジア版オンライン)の見出しは「日興コーディアル、会計処理問題から上場廃止の可能性あり」である。原文ではNikko Cordial may face delisting over accounting practicesであり、日経の見出しが「課徴金、5億円」であるのと相当異なる。ウオール・ストリート・ジャーナルにこう書かれてはまともな値段で日興株を買う外国人はいないだろう。

先日来日した前ニューヨーク市長のジュリアーニ氏によれば「サーベンス・オクスレー法はショック療法」ということだ。米国ではショック療法を乗り越えた大企業が株高を牽引している。今ウオール・ストリート・ジャーナルが日興コーディアルの上場廃止を示唆する記事を書いているのは、日本の内部統制強化のためスケープ・ゴートを求めていると見て良いだろう。

ウオール・ストリート・ジャーナルは日興が上場廃止になると、追加資金を調達することが困難だと論じている。投資銀行業務というのは企業顧客から多額の株式や債券を引き受け、個人投資家や機関投資家に販売する仕事なので大きなバランスシートが必要という訳だ。つまり日興の上場廃止はその投資銀行業務の廃業を意味する。これはゴールドマンやリーマンブラザースという外資系証券会社の商売がますます増えることを意味するだろう。ウオール・ストリート・ジャーナルがそこまで狙っているとは思いたくないが。

ところで日興コーディアルにはシティグループが11%出資している。シティが今後どのような動きをするか・・・などということも興味あるところだ。

また今後の株式投資では「内部統制リスク」というものを考えないといけないことを改めて認識した。内部統制には人手と費用がかかる。このコストは企業規模に比例するものではないので、企業規模の小さな会社ほど負担が大きい。逆に言えば大きな会社は日本版SOX法に対応する力があるので内部統制が有効に機能する可能性が高いと考えてよい。今後は内部統制プレミアムなどが発生するかもしれない。

ところで余談だが、日興コーディアルのコーディアルとはラテン語に由来することばで「心から」という意味だ。CordialのCorが「心」でalが「から」である。しかし「不正経理は一社員がやったこと」などと経営トップが言っているようでは、コーディアルの名を汚すと言われてもしかたがあるまい。

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