金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本はスマートフォン保有率では中位国

2016年02月29日 | デジタル・インターネット

スマートフォンは我々シニア世代でも時々話題になります。

身の周りで起きた具体的な話では、山仲間でフェイスブックのグループ(非公開)を始めた時、一部の仲間から「スマートフォンを持っていないし、持つ積りもないのでスマートフォンがないと連絡を取れないような情報交換スタイルは止めてくれ」という話がありました。もっともこれはその人の誤解です。フェイスブックはPCからもアクセスできるからです。

次に先週千葉県でシニアの方(平均年齢75歳)にマイナンバーの講演をした時、話の進め方を決めるため、「スマートフォンを持っている方」「確定申告(還付申告)をe-taxで行っている方」を挙手で聞いてみました。正確な比率は計算していませんが、スマートフォンを持っている方は数パーセント、e-taxを行っている方はその数倍から10倍近くいらっしゃったようです。

このことはPCなどでインターネットにアクセスしている方はシニア層でも結構多いが、スマートフォン所有者はかなり少ないという統計と同じ傾向を示しています。

インターネットアクセスやスマートフォンの所有についてはPew Research Centerfが世界的な調査結果を発表しています。

Pewが「時たまでもインターネットにアクセスするかまたはスマートフォンを保有しているか」という調査を行ったところ、日本では69%の人がYesと答えています。これはお隣韓国の94%、米国89%に較べるとかなり低い数字です。

下の図は「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」と1人当たりGDPをプロットしたものですで、右上がりの相関関係があることが分ります。

つまり一人当たりGDPが増えると「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」が増えるという関係です。

日本やイタリアはその線の下にありますので、GDPが高い割には「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」が低い国ということができます。

その理由を幾つか推測してみました。

1つは「日本はスマホでない携帯電話が普及しているのでスマートフォンに対するニーズがそれほど高くない」という仮説です。

次に考えられることは、日本は高齢化が進んでいて、スマートフォンを利用しない高齢層の割合が高いということです。

Pewの調査によると、日本の青年層(18歳―34歳)の「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」割合は97%で世界トップレベルです(もっとも韓国・スペイン・イタリアなどは100%。米国は99%)。一方それ以上の年齢層の「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」割合は64%で、こちらは世界的にみると中位以下です。この年齢層によるギャップ(97-64)は33で、他の先進国に較べるとかなり高いといえます。

例えば韓国のギャップは8、米国は14、英国は13、ドイツは19です。

また低所得層と高所得層で「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」割合のギャップが大きいのも日本の特徴の一つです。

高所得層の「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」割合は86%で、低所得層の割合は51%でそのギャップは35です。これは韓国10、米国13、英国16などに較べるかなり大きなギャップです。

これらのデータを見比べると、日本では低所得高齢層の「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」割合が他の国に較べて低いということが

言えそうです。

国はマイナンバー制度の実施に伴い、マイナンバーカードの普及率を3年間で2/3程度にしたいと考えています。しかしマイナンバーカードのメリットをフルに享受するには、インターネットへのアクセスが必要です。マイナンバーカードを単なるIDカードとして使うのではもったいないと思います。

「インターネットアクセスまたはスマートフォン所有」について世代間や所得階層間のギャップが大きい日本では、まずこの問題を考えることが必要かもしれませんね。

 

 

 

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G20 閉幕、市場はとりあえず好感してオープンしたが・・・

2016年02月29日 | ライフプランニングファイル

今日(2月29日)の日経平均はオープン後半時間で200ポイント以上上昇している。先週土曜日終了したG20で世界の金融安定化に向けて政策を総動員することが示されたことを市場は好感しているということだろう。

ただしロイターの記事を見ると The Group of 20 economies were unable to agree on a joint push for new stimulus measures 

at a meeting, turning attention instead to upcoming business surveys from China, Japan, Europe the United States.

と述べている。「G20は協力して新しい景気刺激策を取ることの合意ができなかったので、注目点は今後の中国・日本・欧州・米国の経済統計に変わっている」ということだ。

G20は金融安定化では合意したものの、金融政策では日欧と米英の中銀は歩調を合わせないことが明らかになった。日欧の中央銀行は3月後半にも更に金融緩和策を実施する可能性があるが、米英の中央銀行は当面緩和策を取る見込みはないようだ。

まず注目されるのはユーロ圏の2月のインフレ率で1月には上昇したものの2月は再び鈍化するとエコノミスト達は予想している。欧州圏のインフレ率や購買マネージャー指数が弱いとECBは債券購入プログラムを拡大する可能性があるかもしれない。

最大の経済指標は今週金曜日に発表される米国の雇用統計だ。雇用統計を通じて米国経済が堅調であることが確認されるかどうかが、株式相場が安定するかどうかの大きな鍵を握っている。

だが仮に米国経済が堅調であることが確認されたとしても、米国には大統領選リスクがある。それはドナルド・トランプが共和党の大統領候補になるかどうかというリスクだ。大統領候補が絞り込まれる可能性が高いスーパーチューズデーは3月1日。

ということで今週は予想外のことがまだまだ起きる可能性が高いと考えて置いた方が良さそうだ。

 

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