食品価格の上昇と世界的な穀物の収穫不足が遺伝子組替え食品(Genetically modified food:以下GM食品)に対する抵抗感を巡る問題を提起している。ニューヨーク・タイムズ(NT)によると日本と韓国の食品会社はソフトドリンク、スナックなどの材料として始めて遺伝子組み換えトウモロコシの購入を開始した。日韓の会社は消費者の反感を避けるため、特別料金を払って非遺伝子組み換えコーンを購入していたが、2年で価格が3倍になったので「いやに細かいこと」に拘るには、コストがかかり過ぎることになった。日本でコーンスターチやコーンシロップを作っている加藤化学のバイヤーは「非遺伝子組み換えコーンは高過ぎて買えない」と言っている。
「いやに細かいこと」と書くとGM食品反対派の方々からは「細かいこととは何事か」とお叱りを受けるかもしれないが、これは原文のFinickyという言葉を訳したものである。世界最大のGM食品製造国である米国の新聞だけにGM食品に肯定的な論調なのだ。
私自身は現時点ではGM食品の是非を論じる十分な知識がないが、今後穀物不足を材料にGM食品の増加を主張する声が増えそうなので勉強していきたいと考えている。代表的なGM食品はカノーラ(なたね油の一種)、コーン、綿花、大豆だ。これらに遺伝子組み換え技術を使い、害虫対抗性や除草剤対抗性を持たせたものがGM食品で、米国が世界の半分のシェアを占めている。
その米国では「輸出を失う」恐れからバイオテクノロジーの採用に反対していた小麦の生産者達はGMが生産を増やす方法だとして議論を蒸し返している。これに対し反対者は健康と環境への安全性が十分研究されていないと引き続き懸念を示している。
GM食品に極めて強い反対をしていた欧州でも政府官僚や経営者の中には、GM食品の輸入規制の緩和を求める声が上がっている。(因みに日本のGM食品に対する規制は緩く、「世界最大のGM食品の輸入国だ」と述べているサイトもあった)
欧州議会の農業小委員会の委員長パリッシュ氏は「穀物価格が上昇するに連れて、欧州人もGM食品についてより現実的になるだろう。彼等の心臓は体の左側についているが、ポケットは右側だからだ」と述べている。
NTによると日韓のコーンスターチメーカーが遺伝子組み換えコーンを買う理由は他に方法がないからである。日韓は主に米国からの輸入に頼っているが、その米国の昨年のコーンの75%は遺伝子組み換え物だった。2003年は40%だったので遺伝子組み換えコーンの比率は急増している。
欧州諸国がGM食品に否定的でもやっていけるのは、食糧自給率が高いからである。しかし自給率が4割を切り、アメリカからの輸入に頼るところが高い日本では「遺伝子組み換え食品は嫌だ」と言っても代替手段がほとんどないのである。敢えて代替手段をあげるとすれば、甘味料の入った清涼飲料水をやめて、水かお茶でも飲む位だろうか?もっともその程度の抵抗ではしれたものだが。
遺伝子組み換え食品の安全性についてウエッブ・サイトを少し調べて見たが、危険性を主張するGM反対派のサイトが目立った。難しい問題で短時間に自分の見解が確立できるかどうか自信はないが、プライオリティの高い問題として勉強していきたいと思っている。