金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

遺伝子組み換え食品の増加をどう見るか?

2008年04月21日 | 社会・経済

食品価格の上昇と世界的な穀物の収穫不足が遺伝子組替え食品(Genetically modified food:以下GM食品)に対する抵抗感を巡る問題を提起している。ニューヨーク・タイムズ(NT)によると日本と韓国の食品会社はソフトドリンク、スナックなどの材料として始めて遺伝子組み換えトウモロコシの購入を開始した。日韓の会社は消費者の反感を避けるため、特別料金を払って非遺伝子組み換えコーンを購入していたが、2年で価格が3倍になったので「いやに細かいこと」に拘るには、コストがかかり過ぎることになった。日本でコーンスターチやコーンシロップを作っている加藤化学のバイヤーは「非遺伝子組み換えコーンは高過ぎて買えない」と言っている。

「いやに細かいこと」と書くとGM食品反対派の方々からは「細かいこととは何事か」とお叱りを受けるかもしれないが、これは原文のFinickyという言葉を訳したものである。世界最大のGM食品製造国である米国の新聞だけにGM食品に肯定的な論調なのだ。

私自身は現時点ではGM食品の是非を論じる十分な知識がないが、今後穀物不足を材料にGM食品の増加を主張する声が増えそうなので勉強していきたいと考えている。代表的なGM食品はカノーラ(なたね油の一種)、コーン、綿花、大豆だ。これらに遺伝子組み換え技術を使い、害虫対抗性や除草剤対抗性を持たせたものがGM食品で、米国が世界の半分のシェアを占めている。

その米国では「輸出を失う」恐れからバイオテクノロジーの採用に反対していた小麦の生産者達はGMが生産を増やす方法だとして議論を蒸し返している。これに対し反対者は健康と環境への安全性が十分研究されていないと引き続き懸念を示している。

GM食品に極めて強い反対をしていた欧州でも政府官僚や経営者の中には、GM食品の輸入規制の緩和を求める声が上がっている。(因みに日本のGM食品に対する規制は緩く、「世界最大のGM食品の輸入国だ」と述べているサイトもあった)

欧州議会の農業小委員会の委員長パリッシュ氏は「穀物価格が上昇するに連れて、欧州人もGM食品についてより現実的になるだろう。彼等の心臓は体の左側についているが、ポケットは右側だからだ」と述べている。

NTによると日韓のコーンスターチメーカーが遺伝子組み換えコーンを買う理由は他に方法がないからである。日韓は主に米国からの輸入に頼っているが、その米国の昨年のコーンの75%は遺伝子組み換え物だった。2003年は40%だったので遺伝子組み換えコーンの比率は急増している。

欧州諸国がGM食品に否定的でもやっていけるのは、食糧自給率が高いからである。しかし自給率が4割を切り、アメリカからの輸入に頼るところが高い日本では「遺伝子組み換え食品は嫌だ」と言っても代替手段がほとんどないのである。敢えて代替手段をあげるとすれば、甘味料の入った清涼飲料水をやめて、水かお茶でも飲む位だろうか?もっともその程度の抵抗ではしれたものだが。

遺伝子組み換え食品の安全性についてウエッブ・サイトを少し調べて見たが、危険性を主張するGM反対派のサイトが目立った。難しい問題で短時間に自分の見解が確立できるかどうか自信はないが、プライオリティの高い問題として勉強していきたいと思っている。

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アクセス25万件、OCNブリエにつながるかも

2008年04月21日 | ブログ

この前私のブログへのアクセス件数が25万件を越えた。25万というと山形市や豊島区の人口が約25万人だから、かなりの数である。日頃ご愛読頂いている方にはあらためて感謝申し上げる次第です。

ところで同じころ「ライトアップ社のブログスカウト」から「OCNブリエのブログに転送するから参加しないか?」という誘いの連絡があった。ライトアップ社というのはブロガーと企業を仲介する仕事している会社らしい。そのライトアップ社が、OCN(NTTのインターネット・プロバイダー)が50代・60代向けに立ち上げたブリエ(Briller、フランス語で「輝く」という意味だとか)というサイトhttp://briller.ocn.ne.jp/about/index.htmlに面白そうなブログの記事を転送する仕事を請け負っていて、私のブログもその候補に入れてくれたという訳だ。特段経済的に負担もメリットもなさそうな話だが、自分のブログが同世代の人に読んで頂ける機会が増えるならば幸いである・・・と思いお話を受けることにした。

もっともどのような記事がブリエに転送されるのかは、ライトアップ社の選択次第なので余り過大な期待もせずに様子を見ていようと考えている。今までどおり自然体で自分の感じるところと信じるところを折々に語りたいと思う。

ところでOCNブリエのサイトを見るとガーデニング、デジタル一眼レフ、夫婦で健康など「中高年生活の楽しみ」が盛り沢山に紹介されていていかにも楽しそうだ。しかし最近読んだサライの中で精神科医の中沢正夫さんという人が述べていたことも心しておく必要があるかもしれない。氏の曰く「(ばら色の老後は)苦しく厳しい老いの日々の中で、たまたま咲いた”桜”に過ぎないと自覚するべきだろう。払った代償や起こった家庭内葛藤などは、多く捨象されている。・・・・(シニア向けの雑誌などに)書いてある内容どおりの生活などまず無理だと理解しておいたほうがいい」

夢のない話を紹介してしまった。しかし考えて見ると若い人や中年向けに企画された雑誌の記事のとおりの楽しく充実した生活を多くの人がおくっているとは思えない。何もシニア雑誌だけが夢を売っている訳ではないのだ。普通の人間にとって、趣味やレジャーとは仕事や家庭の狭間の中で、時間と金をやりくりしながら折り合いを付けていくものである。老後の楽しみも又自分や家族の健康や資産との折り合いで決まることには変わりはないのである。

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銀行の資本強化はポジティブな段階に入った

2008年04月21日 | 金融

米銀の資本強化は新しいステージに入ったという報道がFTに出ていた。それは投資信託とヘッジファンドの資金が全米10位のナショナル・シティ銀行に普通株の形で入ったことだ。投資家は銀行が最悪期を脱したと判断したと私は見ている。金融セクター株の急上昇が起きるかもしれない。恐らくこれに釣られて邦銀株もかなり値を戻すだろう。

記事の概要は次のとおりだ。

余り知られていないコルセアCorsairキャピタルというプライベート・エクイティ・ファンドが、投資信託とヘッジファンドの資金を取りまとめて、ナショナル・シティの株に70億ドルから80億ドル投資する準備をした。」「オハイオ州クリーブランドを本拠とするナショナル・シティは他の米銀同様住宅ローンで手酷くやられ第4四半期に333百万ドルの損失を出した」

コルセア・グループはブラックストーンなどの大手プライベート・エクイティ・ファンドとの競争に勝ってディールを得た。このディールには通常プライベート・エクイティが要求するような安全装置やガバナンス権がほとんどなかった。」

「これは投資取引で企業支配取引ではない、コルセア側は言っている。普通株式を購入するだけなので、取締役を一人入れるだけで支配権は取らないということだ」

ソブリン・ウエルス・ファンドの資本注入で始まった米銀の資本強化は、次の段階として投資信託という一般投資家の資金が入る段階になってきた。今回コルセアという余り有名でないファンドに大手プライベート・エクイティが負けたということは、ディールの条件が銀行寄りになってきたことを意味する。これが新しい潮流になるかコルセアの勇み足に終わるか気になるところだが、米銀が最悪期を脱したという認識は投資家の間に広がりつつあると見て良いだろう。

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