追憶の彼方。

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インフルエンザウイルス

2016年12月03日 | 健康
今冬のインフルエンザは昨年の10倍、早くも学級閉鎖が出始めており、一月頃にピークが来るという恐ろしい噂に驚かされて慌てて予防接種を受けてきた。
インフルエンザウイルスは突然変異が頻繁に起きる為、インフルエンザの予防接種で、感染予防を目的とするのは難しいということはWHOも厚生労働省のHPの中でも説明されている。   
しかし予防接種は●発症予防以外にも  ●重症化予防  ●感染症の蔓延化予防に効果があり、特に”重症化”(重い肺炎や脳炎など)を防ぐことができれば、確かに大きな成果だと言える。

しかし色々調べてみるとインフルエンザはどうも風邪ではないらしい。医学書等によると
ウイルス感染症の例として ①流行性のインフルエンザ、②風邪症候群、ヘルペス、エイズ、等が上がっており
一方細菌感染症の例として③扁桃腺炎、④副鼻腔炎、⑤細菌性胃腸炎、コレラ、赤痢などが例示されている。
つまり世に言う風邪とは②ウイルスによる風邪症候群、細菌による③扁桃腺炎,④副鼻腔炎、⑤細菌性胃腸炎を言うらしい。
抗生物質は細菌には効くが、ウイルスには効かない。
従って医者で抗生物質を処方されれば①インフルエンザや②風邪症候群に感染していないか、或いは①、②をこじらせ弱った体に細菌が侵入し細菌性の扁桃腺炎等に感染したという事になる。
 一般的に、”熱が出て、咳やハナが出る”症状があれば、なんでも「風邪」と思い込んでしまいがちだが全く別物と考えた方が良いという事である。

①インフルエンザの特徴的な症状として発熱、頭痛、疼痛、全身倦怠感、が強く、時として鼻症状(鼻水、鼻づまり)、咽頭症状(咽頭痛)、下気道症状(せき、たん)が出ることもある。
一方②,③,④,⑤の風邪の場合は発熱・頭痛・疼痛はまれで鼻症状、咽頭症状(咽頭痛)、下気道症状が中心である。

 
ウイルスも細菌も人間に感染し死に至らしめるような恐ろしい存在であるが、増殖し子孫を残す方法が全く異なる。
細菌は、感染した生物から栄養をもらって自分の力で増殖する。所謂、細胞(2)分裂である。栄養があり一定の条件がそろえば増殖できるので、生物以外のものにも取り付き腐らせて栄養とする。

一方ウイルスは自力で増えることができないので、生きている細胞に取り付き、その細胞をだましてその力を利用し増殖する。細胞の中に、ウイルス生産用の遺伝子(設計図)と、その遺伝子をつくるための酵素やタンパク質など(道具)を送り込む。すると細胞は、送り込まれた設計図と道具がウイルス生産用であるとは気づかずに自分の遺伝子をつくる為の材料を使ってウイルス遺伝子をつくり、この遺伝子を基にウイルスを大量につくり出して細胞はウイルス生産工場となってしまうのである。この工場内で大量につくられた新しいウイルスは細胞膜を破壊して外へと飛び出し、新たな工場となる細胞を見つけては感染を繰り返す。
カッコウの托卵と言う残酷な子育てがあるが、それ以上の実に恐ろしい光景である。

「細菌」は動物や植物と同じように、”細胞”としての構造を持っている。動き回るための組織(鞭毛)、餌を食べるための組織(リボソーム)、エネルギーを作るための構造、子どもを作るための構造などを備えている。
 
「ウイルス」は遺伝情報であるDNA・RNAと、それ覆う殻だけで構成されている。呼吸もしなければ、餌を食べることもせず、エネルギーを作ることもなく、子どもを作るわけでもないため、必要最低限の遺伝情報しか持っていない。
或る意味細菌の方が人間に近い存在、ウイルスは無生物が生物に移行する際その中間点に取り残された存在のようである。



 
コメント
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