急きょ、仕事でお茶菓子を用意することになった。
予算には限りがあり、高級な菓子は買えそうもない。1個100円から150円までが限度だ。
デパートに行くと、まずは和菓子屋が目に入る。その日のうちに食べなければならないものや、個包装されていないものは避け、無難で喜ばれそうな品を探す。
あっ、どらやきだ~!!
子どもの頃の愛読書、『ドラえもん』の影響だろうか。私はどらやきが好きだ。お値段は137円で、ビニール包装もされている。迷わず「これにしよう」と即断した。
私には、慎重さに欠ける面がある。特に、好き嫌いといった感覚で行動すると、ろくな結果にならない。この日もそうだった。
「どらやきでお待ちのお客様、大変お待たせしました」
年配の店員さんがヨロヨロしながら、品物を持ってこちらに向かってくる。手にしているのは、引き出物を入れるような、大きな大きな紙袋だ。私はその大きさに仰天した。
デ、デカい!!
ご丁寧にも、底が抜けないよう、袋を二重にしているではないか。思わず、二、三歩、後ずさりしてしまった。
「重いですから、お気をつけてお持ち帰りください」
「は、はい……」
店員さんから袋を受け取ると、腕に強力な負荷がかかる。
こりゃ、たしかに重いわぁ!!
明らかな選択ミスである。何しろ、35個もどらやきを買ったことがないので、こんな重量になるとは予想できなかったのだ。山ほど後悔しながら、ひきずるようにして紙袋を持ち帰った。
家で重さを量ってみると、4kgもある。
男性ならともかく、体力の落ちてきたアラフォー女性に、この重量は厳しい。指に食い込んだひもの跡がジンジンし、「バッカで~」と囃し立てているようだった。
クソッ、失敗した……。
翌日は、この重たい荷物を職場に持っていかねばならない。キャスターつきのバッグを使いたかったが、そんなもので出勤したら悪目立ちしそうだ。動きやすい格好で、他の荷物を減らし、駅からはタクシーに乗って、どうにかこうにかたどり着いた。
なんだって、ここまで苦労しなきゃならんのだろう……。
どらやきの活躍する場面が来た。カステラがふわふわで、粒餡の甘味もちょうどいいから、予想通り、大人からの反応はまずまずである。
だが、生徒にはさほどでもなかったらしい。後片付けのさい、ゴミ袋に餡の塊が捨ててあるので驚いた。
今どきの若者には、餡が食べられない者もいるという。人の苦労も知らないでと、苦々しく思ったときだ。横から大きな声が聞こえてきた。
「あっ、餡だけ捨ててある! 信じられない! こういうことする人、誰ッ!?」
見ると、菓子なら何でもござれという女子生徒が、仁王立ちになって怒っている。
「どらやきを、こんな風に扱うなんて許せない!」
そのとき、気まずそうに下を向いた女子がいた。おそらく、その子の仕業なのだろう。
私たち大人が注意するより、よっぽど効き目がありそうな気がする。
あれこれ大変だったが、最後はスッとして終わった。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
予算には限りがあり、高級な菓子は買えそうもない。1個100円から150円までが限度だ。
デパートに行くと、まずは和菓子屋が目に入る。その日のうちに食べなければならないものや、個包装されていないものは避け、無難で喜ばれそうな品を探す。
あっ、どらやきだ~!!
子どもの頃の愛読書、『ドラえもん』の影響だろうか。私はどらやきが好きだ。お値段は137円で、ビニール包装もされている。迷わず「これにしよう」と即断した。
私には、慎重さに欠ける面がある。特に、好き嫌いといった感覚で行動すると、ろくな結果にならない。この日もそうだった。
「どらやきでお待ちのお客様、大変お待たせしました」
年配の店員さんがヨロヨロしながら、品物を持ってこちらに向かってくる。手にしているのは、引き出物を入れるような、大きな大きな紙袋だ。私はその大きさに仰天した。
デ、デカい!!
ご丁寧にも、底が抜けないよう、袋を二重にしているではないか。思わず、二、三歩、後ずさりしてしまった。
「重いですから、お気をつけてお持ち帰りください」
「は、はい……」
店員さんから袋を受け取ると、腕に強力な負荷がかかる。
こりゃ、たしかに重いわぁ!!
明らかな選択ミスである。何しろ、35個もどらやきを買ったことがないので、こんな重量になるとは予想できなかったのだ。山ほど後悔しながら、ひきずるようにして紙袋を持ち帰った。
家で重さを量ってみると、4kgもある。
男性ならともかく、体力の落ちてきたアラフォー女性に、この重量は厳しい。指に食い込んだひもの跡がジンジンし、「バッカで~」と囃し立てているようだった。
クソッ、失敗した……。
翌日は、この重たい荷物を職場に持っていかねばならない。キャスターつきのバッグを使いたかったが、そんなもので出勤したら悪目立ちしそうだ。動きやすい格好で、他の荷物を減らし、駅からはタクシーに乗って、どうにかこうにかたどり着いた。
なんだって、ここまで苦労しなきゃならんのだろう……。
どらやきの活躍する場面が来た。カステラがふわふわで、粒餡の甘味もちょうどいいから、予想通り、大人からの反応はまずまずである。
だが、生徒にはさほどでもなかったらしい。後片付けのさい、ゴミ袋に餡の塊が捨ててあるので驚いた。
今どきの若者には、餡が食べられない者もいるという。人の苦労も知らないでと、苦々しく思ったときだ。横から大きな声が聞こえてきた。
「あっ、餡だけ捨ててある! 信じられない! こういうことする人、誰ッ!?」
見ると、菓子なら何でもござれという女子生徒が、仁王立ちになって怒っている。
「どらやきを、こんな風に扱うなんて許せない!」
そのとき、気まずそうに下を向いた女子がいた。おそらく、その子の仕業なのだろう。
私たち大人が注意するより、よっぽど効き目がありそうな気がする。
あれこれ大変だったが、最後はスッとして終わった。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
太鼓饅というのは、大判焼きのようなものでしょうか。
しかし、大阪では「どらやき」になるんですね。
たしかに混乱します。
大阪に行ったことがありません。
いつも通過するだけです。
まったく知りませんでしたよ。
カメラはスポーツというようですが、重い機材を持ち運ぶ面からも正しいと思います。
ミラーレス一眼は軽そうですね。
教育されていたように思いますが、受け継がれるとは
限らず、寂しい思いがしております
愛媛県南部では、どらやきと言えばこのカタチでした
縁日で売っている鉄板型で焼くのは、太鼓饅でした
大阪ではそれを、どらやきと呼び子供の頃、戸惑った記憶があります
カメラの三脚が5kgあります
2年前の年末、それを持って東京中を移動して撮影しておりました
もちろんカメラやレンズも携帯、翌日は腰が痛くて
伏せっていたことを思い出しました
あらっ、スッとしたらNGでしょうか??
モヤモヤしているときに、誰かが自分の気持ちを代弁してくれると嬉しいんですよ。
特に、同じ生徒だと安心します。
しょうしみんさんも餡がダメなんですか!
仕事先で、どらやきをドーンと出されたら苦笑いですね(笑)
羊羹も重そう…。
以前、世田谷で羊羹の詰め合わせをお土産にいただき、ヒーヒー言って持ってかえったことがあります。
食器をいただいたような重さでしたよ。
軽い煎餅が無難かも…。
実は自分も餡菓子が苦手…。
嫌いってほどだはないけど、好んでは食べないから、ここ一年以上食べてない気がするかな。
35個のどら焼きは圧巻でしょうな~。
おつかれさまっした~。
キムラヤのショーケース並みにすごいんだろ~な~。ちなみに嫌味じゃないっすよ。ほんと。けっして。
今度は虎屋の羊羹35個にチャレンジ!!
さくれさんって、優柔不断なんですか?
そういうイメージはないなぁ~。
バレーボールをやっているから、反射的に体が動くタイプだと思っていました。
私の場合、男の買い物に近いです(笑)
目に入ったものをよく吟味せずに「これでいいや」と決めてしまう。
選ぶのが面倒なだけ~。
多分、買い物が嫌いなんですね。
言いたいことがいえるかどうかは、学校でのポジションでも変わると思います。
自分の居場所を作ってもらいたいですね。
即決できる砂希さんは凄いですよ。
わたしなんて、こういうときは
何時間も悩んだ挙げ句
きちんともれなく「後悔」までついてきますから(汗)
のんちゃん 勇気ある女の子ですね~。
きっと学校の雰囲気も 思ったことを自由に発言できる雰囲気なんでしょうね。
どら焼き運搬、お疲れさまでした~~。
お元気そうでよかった!
仁王立ちの女の子は「のんちゃん」という名前でした(笑)
惜しい~。
1個何グラムかわかっていれば、35をかけて正確な重量を計算したのに…。
昔、ハローワークに適性検査の冊子をもらいにいったことがありました。
たしか6kgくらいになったんです(笑)
あのときは心の準備ができていたからよかったけど、今回は突然でしたからね。
体重が妙に減っていましたよーん。
なーに、この名前は(笑)
ウインドーを見ていて、ときどき「ピピッ」と来てしまうのよ。
「買って買って~」と話しかけられているような感じ。
んで、ダンベル状態になってしまった…。
普通、餡が食べられないのなら、手をつけず誰かにあげるとかしない?
感覚が違うみたい。
注意した女の子は、おばあちゃん子だから、ものを大事にする習慣があるみたいだよ。
はい、お店から職場に配達してもらうのがベストのチョイスかと。
でも、閉店間際のデパートで、翌日の9時に必要なお菓子でした。
時間的に無理ですね。
ギリギリに買うのであれば、配達しなくてすむものにすべきだし、配達してもらうのであれば日数に余裕を見るべきです。
いい勉強になりましたよ。
十万石まんじゅうですか?
私は柏屋の薄皮饅頭が好きです!
餡はいいですね~!
奥様を許してあげてください(笑)
お菓子って大量に用意すると重いし結構かさばるんですよねぇ...
次回は筋肉ムッチョのむっちゃんがお手伝いに伺いますよ~└(`0´)┘
餡は苦手というか、自ら好んでは食べないけど、いくらオレでもさすがに捨てるような事はしないね。
それにしても難儀なことでしたね。
砂希さんには配達してもらうという選択肢は最初からなかったようですね。
私の配偶者は子供の頃から餡の入ったものが大好物だったらしく、
毎日のように買ってきて私に隠れて食べているようです。べつにとらないのにね。
どら焼きも最近は高くなったようですね。
そうそう、弟が帰省の折、十万石まんじゅうなるものを時々土産に持ってきます。
いや~、重くて大変でしたよ。
餡も重いけど、カステラの重量もある気がします。
前に、マドレーヌ20個入りを2箱買ったとき、結構重いと感じました。
すっかり忘れて、今回は筋トレ状態でしたよ(笑)
聞くところによると、どらやきは粒餡がスタンダードなのだとか。
そういえば、こしあんのどらやきはないかも…。
たしかに、お茶漬けに見えるね(笑)
仰せの通り、お茶菓子に直しておきました。
35個って、かなり多いんだなぁと実感しちゃった。
アクセスが35しかないと卒倒しそうになるけど、どらやきは別だわさ。
もっと早い時期に、配達してもらえる店で頼めばよかったと後悔…。
お菓子で4kg・・・持ったことないです。
あんこって、けっこう重いんですね。
仁王立ちの女子、好きなキャラです。
坂木司「和菓子のアン」のヒロインみたい。
先日の『究極の選択』では 粒あんでしたね。
今回も、そちらを買われたのかな。
だってお茶請けをお茶漬けに見えたもん(笑)
途中まで読んで気がついたよ(^^ゞ
なんで、35人分のお茶漬けを用意しなきゃいけないのか…^ロ^;
これからはお茶菓子にして下さいm(__)m