これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

第70回 正倉院展

2018年11月04日 20時59分52秒 | エッセイ
 第70回正倉院展が開催されている。
 毎年、休みが取れずに見送っていたが、今回は平日を含めて3連休が取れる。運よくチケットもいただいたし、気合いを入れて早朝の新幹線を予約した。
「え? 正倉院展は夕方からの鑑賞がおススメ?」
 何と、混雑状況を調べていたら、平日も休日も朝イチは避けた方がよいとわかった。待ち時間が長く、館内の混雑も激しいのだとか。4時半起きでツラかったのに、奈良に着いても興福寺や東大寺をブラブラして15時まで時間をつぶし、国立奈良博物館に向かった。



「さすがに行列はないね。うんうん」
 入口が空いていても中は混んでいる。出陳宝物は60点ほどだから、せかせかせずにノンビリ回るのがよいだろう。
 今回の目玉は、チラシの写真にもなっている、この八角箱であろう。



 正式名称が長い上、難しい漢字ばかりだし、苦労して入力しても読んでもらえない気がするから省略します……。
 夜光貝のやわらかな輝きが、ソフトで柔和な魅力を引き出している印象を受けた。
 チラシの裏面にも、人気の出そうな品が載っていた。
 この鏡も、八角箱に近い装飾が美しい。



 古い古~い時代のものが、現代でも光り輝いているところに感動した。
 この箱にも人が群がっていた。



 小窓は水晶、台座が象牙の細工でできているらしく、贅をつくした品だという。肉眼では限界があるから、拡大鏡を目に当てている人もいた。単眼鏡というのだろうか。ぜひ、私も欲しくなった。
 写真左上の磁鼓(じこ)は、どんな音が出たのか聞いてみたいと思う。



 右端の犀角如意(さいかくのにょい)にも人が群がっていた。色彩豊かだし、技法や表現の組み合わせが見事なのだという。言われてみないとわからないところが素人の辛さだ。
 沓(くつ)のようなものは、たしかに履物だったらしいが、完全な形でないところが残念である。前で鑑賞していた若い女性たちが「ボロボロやん」と悲しそうに言うのを耳にして、まさに同感と頷いた。
 チラシに載っていなくても、記憶に残るものがある。7番の「白布」がそれで、調布と説明されていた。つまり、租庸調の調として納められた布なのだ。すっかり変色して、黄ばんだ白色だったけれども、社会の授業で教わったものが、1300年くらい経ってから、私の目の前に出現するとは一種の手品に見えた。
「あ、出口だ」
 時計を見ると16時になるところだった。
 文書などは価値がわからないので全然見ていない。自分が「宝物」と感じる品だけを見て、古代文化と交流できたことをありがたいと思う。
 正倉院展での時の流れは、一歩通行ではないのかもしれない。


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コメント (10)
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