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For Ordinary Business People

プロダクトアウトの復権 -顧客ニーズが見えない時代-

2005-09-23 00:28:57 | ブログ

 物質的に充足し、しかも消費意欲が鈍っている時代に、消費者に新しいことを聞いても何も解らない。消費者は自分の頭で想像できるものには反応できるが、いままでまったくないものに関してユーザ調査しても何も得られない。
 それなら、独りよがりでもいいから「俺達が提供したい商品やサービスはこれだ!」というものを創って提示したほうが、よほど世の中に訴求することができるのではないか。

 最近、こういう提供者側からの動きが少なからず出てきたようです。
 私は結構この考え方に賛同しています。

 「顧客ニーズ」を中核に据えたマーケティングの教科書的には逆行した考え方です。が、理屈はともかく、結果的に「お客様に受け入れられる、よろこんでもらえるもの」を提供できれば、それが、「マーケット・イン」的アプローチであろうと「プロダクト・アウト」的アプローチであろうと別に構わないでしょう。

 「お客様は神様です」というのはそのとおりでしょうが、「神様」にも「いい神様」もいれば「いたずらな神様」もいるし、「悪い神様」もいます。(アフラ・マズダもいればアンラ・マンユもいるのです) 「神様」の言うことはすべて正しいというのは、あまりにも純朴すぎます。

 顧客ニーズを重視した顧客志向的な優良企業としては、花王や資生堂とかが有名ではありますが、「現実的な成果は、顧客のクレームを真摯に受け入れて商品の改良や改善につなげるといったものが大半」との話も聞こえてきます。

 どうも、「顧客の声の尊重」は、改良や改善、既存顧客の維持という点ではそれなりの効果が得られているのかもしれませんが、全く新たなマーケットを創出するような画期的なイノベーションは、(通り一遍の顧客ニーズといわれているものからは、)なかなか生まれてきていないのが現実のようです。

 このあたり、一昔前?のホンダやSONYはいい意味での「メーカとしてのプライドや自負」を持っていたように思います。

 とはいえ、顧客を無視・軽視するのは絶対に正しいアプローチではありません。
 最近は、「マーケット・イン」をさらに進めて、ひとり一人の顧客を識別し、その個々の顧客にフォーカスした「カスタマ・イン」というコンセプトが出てきています。
 このあたりについては、また別のときに触れたいと思います。

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