いつも行っている図書館の新着書の棚で目についたので手に取ってみました。
だいぶ前に「グレープフルーツ・ジュース」は読んでいるので、オノ・ヨーコさんの詩集は2冊目になります。
見開きで、左に短い「詩」、右に点描の「絵」という構成。
心に残ったフレーズを2・3、書き留めておきます。
(街の作品 Ⅶ)
大きな大きな虹が
北から南へかかっているところを想像する。
虹の両端を訪ねてみる。
「想像する」「考える」といった自分の頭の中にイメージを浮かばせる、そういった“思考”を促す言葉が目立ちます。まさに “imagine” ですね。
もうひとつ。
(生命の作品 Ⅲ)
1年に一度すべての人が歌うところを想像する。
その日には、
a) 弁護士は、歌で弁論合戦を行なう
b) 政治家は、歌でスピーチを行なう
c) 教師は、歌で講義を行なう
d) 兵士は、敵に向かい互いに歌い合う
こういった「歌」をテーマにしたフレーズが「生命の作品」と名づけられたジャンルで登場しているのも、オノ・ヨーコさんならではの思想の表れなのでしょう。
そして、同じく「生命の作品」の中には、こういった詩もありました。
(生命の作品 Ⅴ)
自分の姿を想像する
母親の子宮の中で
胎児になっている。
しばらくその状態でいる。
外の世界に出たいかを自分に問う。
これまでに起こったこと、
自分自身がまわりに与えた影響を
踏まえて。
時に立ち止まり、しばし振り返ってみる、この詩集の中で一番インパクトのあった作品です。
とはいえ、この風変わりな詩集、正直なところ私にはちょっと合わなかったですね。
私の感性に勝手なバイアスがかかってしまうのでしょう、つい「オノ・ヨーコさん」の詩集と聞くと、それだけで(ジョン・レノンにも通じる)何がしかのメッセージ性を“感じよう”としてしまうようです。語られる詩の言葉に、素直な姿勢で向き合えなかったのかもしれません。
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