いつも利用している図書館の新着本リストで目についた本です。
著者の堀井美香さんは、元TBSアナウンサー。2022年4月、50歳でTBSを退社しフリーとして歩を進めました。
本書は、その節目を迎えてのさまざまな想いを綴った堀井さんのエッセイ集です。
期待どおり私の興味を惹いたところは数多くありましたが、その中から特に印象に残った部分をいくつか書き留めておきます。
まずは、最初の章「2月2日 とりあえず、箱を借りた」から。
(p17より引用) 覚悟は自分で作っていく。
背水の陣かもしれない。でも図らずもいい方法を見つけたとも思っている。
“実行” に裏打ちされたいい言葉です。この “腹の括り方” は見事ですね。
こういった “悟り” の決意は、本書のあちらこちらでお目にかかります。
(p161より引用) 捨て駒になっても、いなくていい存在と言われても、「それが何か?」と言いながら、自分勝手に、やりたいことをやる。それがどんなに楽しいことかを、私たちは知ってしまったのだから。
そう、それだけ堀井さんが “本気に目覚めた” 証です。
ただ、本書で語られる堀井さんのエピソードを辿ってみると、以前から “一本芯の通った行動派” だったのは間違いないでしょう。そして、その「筋の通り方」に結構ユニークさがあって、そこが彼女にしか纏うことができない独特の魅力となっているんですね。
さて、本書には、堀井さんとジェーン・スーさんによるpodcast番組(ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」)の話題が登場します。
私も、この番組のファンで、お二人のフリートークは毎回楽しみにしているのですが、番組での語り口と同じく、本書でも、堀井さんのその飾らない人柄がそのままに文章に溢れ出ていますね。とても気持ちのいい読み心地です。
そして、堀井さんの言葉から最後に書き留めておくのは、「はじめに」の中の一節。
(p2より引用)
新しい場所に出たら、初めて見る景色に驚いた。
今まで抱いたこともない感情をもった。
そして時間の流れも時間の価値も明らかに違った。
とても素晴らしい決断だったようです。本書を読んで、最も私の心に響いたくだりでした。
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