OMOI-KOMI - 我流の作法 -

For Ordinary Business People

命令違反のすゝめ (「命令違反」が組織を伸ばす(菊澤 研宗))

2007-09-17 14:37:09 | 本と雑誌

Shinju_wan  太平洋戦争における日本軍の高級将校の行動を材料に、その失敗の原因を探求していきます。
 かなり以前に似たような切り口で「失敗の本質」という有名な本がありましたが、その結論は異なります。

 菊澤氏は、失敗を2つに分けます。
 「無知」や「不注意」による「条理な失敗」と予期できたにもかかわらず陥ってしまう「不条理な失敗」です。

(p10より引用) 人間が関わる重大な失敗の多くは、良くない結果が生れることを十分知りつつ、なぜか失敗に突き進んでしまうような、そんな失敗である。つまり、世の中には、単なる無知や不注意だけでは説明できないような失敗もあるのだ。
 私は、このような失敗を「不条理な失敗」と呼んでいる。・・・人間が関わる重大な失敗の多くは、無知や非合理性によってもたらされたというより、むしろ合理的に起こるものだ。

 以前の多くの説では、多くの失敗は「非合理的な判断」によるものだといわれてきました。しかし、菊澤氏は、「合理的に失敗は起こった」と言います。

 ここでのキーワードが「限定合理性」です。

(p12より引用) 現実には完全な人間などいない。・・・人間の情報認識能力は限定されており、人間はそこで得た不完全な情報の中でのみ合理的に行動するという「限定合理性」の仮定に立って、事例を分析する必要があるのだ。・・・先に挙げた事件や不祥事も、実はこの限定合理性な人間が不完全な情報の中で不正であることを十分知りつつ、組織や企業のためと思い行動した結果起きたものが意外に多いのだ。

 このような「不条理な失敗」を回避するためのファイナル・ソリューションが「命令違反」です。

(p15より引用) 不条理に満ちた現代の組織には、ファイナル・ソリューションとして命令違反する勇気と、命令違反を許容する新たなマネージメントが必要である。

 菊澤氏によると、「命令違反」は、「不条理な失敗」に陥るのを防ぐとともに、「命令違反を認める仕組み」も具備されると組織を進化させる効用もあると説いています。

(p103より引用) 不条理に陥った場合、部下が上司や上官に対して命令違反することは、組織倫理上は不正だが、組織経済的には効率的であり、しかも組織の消滅や淘汰の危機を回避することにつながる。そして、部下の命令違反が何らかの仕組みのもとに認められているような組織では、上司や上官の命令が生み出す非効率や不正が、部下の命令違反によって排除される可能性があるのだ。・・・このような仕組みを持つ組織は、・・・命令違反によって・・・むしろ組織を進化させる可能性すら出てくる・・・

「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書 312) 「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書 312)
価格:¥ 798(税込)
発売日:2007-08


クチコミblogランキング TREview

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする