Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

Vol.313:小学生の学びに関する三つのミニネタ

2009年07月28日 | オープニング
ネタ枯れのシーズンである夏に突入しました。ということで今回は小学生の教育にちなんだ興味深いミニネタを3つお知らせします。

あいさつレンジャー
埼玉新聞「Web埼玉」2009年7月18日の記事より

埼玉県の小学校で、児童会役員の7人が早朝の正門前で赤や黄色など5色のマスクで顔を覆い、登校する児童らに「おはようございます」と元気に朝のあいさつ運動を開始しました。彼らの名前は“あいさつレンジャー”。元気にあいさつをするためにはどうしたらいいかを児童会で考えた結果、“あいさつレンジャー”が誕生したとのことです。下記はWeb埼玉ににUPされている「あいさつレンジャー」の勇姿です。


Web埼玉『正門で元気におはよう 効果抜群“あいさつレンジャー”』2009年7月18日(土)より
http://www.saitama-np.co.jp/news07/18/04l.html

新聞によると、色つきのマスクは100円ショップで購入。色鮮やかなマントは手作りだそうです。月、水、金曜の午前7時40分~55分に正門前で全校生徒を「おはようございます」という声で迎えるのが“あいさつレンジャー”の任務とのこと。


校長先生は「特に低学年で、あいさつを返す子どもたちの表情がにこやかになた」と、以前のあいさつ運動と比べ、見違えた効果を強調しているそうです。

なかなかやりますね~。先生に言われてやり始めた訳でなく、子供達が自発的に学校の問題点について考え、それに対する解決案を検討・実行している点が素晴らしいです。今後は「あいさつレンジャー」になりたくて児童会に参加する生徒も増えるんじゃないかな?

この案を提案した生徒は「キャラクターがいた方がいいと思った。自分の案が実現してうれしい」と述べています。きちんと問題点を考え改善策を提案する生徒、そして生徒が考えた案をきちんと受け止め、実行させてあげる先生、うまくいっている企業組織の上司とメンバーの関係を見ているような気がしました。

学校の教室を電子音で満たしたい「神奈川子ども会 DS-10キャラバン!」
続いては同僚のK先生に教えていただいたネタです。以前本メルマガvol.272で紹介しましたKORG DS-10ですが、これを小学生に教える「神奈川子ども会DS-10キャラバン!」という大胆かつ面白うそうなプロジェクトが始動しました。
Denkitribe、佐野信義が「先生」に! ちびっこDS-10教室

今回の仕掛け人となった神奈川県子ども会連合会事務局の増井保幸さんは、子供にDS-10を教える意義を
・自分がやって面白かったから、子どもたちも楽しいに違いない
・音楽の楽しさ、集団で合奏することで仲間の大切さを知って欲しい
・体験を通して音楽に夢を持ってもらいたい
と語っています。下の2つであれば縦笛とかピアニカとか小学生が普通に演奏している楽器と変わりません。しかし今回のDS-10の場合、「自分がやって面白かったから」という点が重要と筆者は考えます。

筆者も大学のレポートやグループワークのテーマを考える時、自分だったら取り組みたいと思うか?提出されたレポートをワクワクしながら読むことができるか?という観点で考えています。しかし不思議な事に、そういう観点でテーマを考えると当初レポートやグループワークで育みたいと思っていた学習目標にうまく結びついてくれます。とは言うものの、最大の難点は、取り組みたいと思うテーマは、つまらないテーマに比べて難易度が高くなる傾向があることです。今回のDS-10のプロジェクトにおいても
シンセの面白さは自由に音色を操れることであり、それは子ども達にも伝わりやすいはずだ。ただ、その方法をどう教えるかが大問題。それは佐野氏以下、DS-10オールスターズの面々も同じ意見だったし、これからの課題だ。

と語っています。しかし、これからも「つまらないテーマを無難にこなす」のでなく、面白くてワクワクするようなテーマに挑戦し、学生の学ぶ力と筆者自身の教える力を伸ばしていきたいと、この記事を読んで思った次第です。

全国学力テストは役立っているのか
最後は「教育学者がやってみた、PTA会長日記」というBlogに掲載された『全国学力テストは役立っているのか 』(09/07/17)という記事について
です。
実はこのPTA会長は筆者の知人なのですが、最近ご子息が通う小学校から全国学力テストの結果が保護者宛に知らされたそうです。しかしその中身は学校単位での調査結果をまとめたものだけであり、「自分の子供はどうだったのか」という個別具体的な結果は一切知らされなかったそうです。

一方筆者の娘に聞いてみたところ、娘の小学校では個人の成績と全国平均は教えてくれたとのことでした。とすると学力テストの結果は学校あるいは教育委員会ごとに何をフィードバックするのかが任意に決めることができるという事なのかなあ?

そもそも、この調査の目的を文部科学省のサイトで調べてみると、

  • 国が全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から各地域における児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
  • 各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
  • 各学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる。

とあり、テストを受ける個人の事は全く目的に入っていません。であるならば名称を「全国学力・学習状況調査」でなく「全国教育力、教育指導状況調査」とすべき?

とは言うものの、たとえ教育を提供する側の改善を目的に調査を実施しているとしても、テストを受させられた生徒の側からすれば、自分が世の中の小学生と比較してどのぐらいの学力なのかを知りたい筈。もちろん親に知られたくない子供も多いとは思いますが、学ぶ個々人へのフィードバックのないテストはいくらやっても無駄だと筆者は考えます。

皆さんのお子さんの小学校では、全国学力テストの結果はどのようにフィードバックされましたでしょうか?情報お待ちしております。

最後までお読みいだだきありがとうございました。
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