
かわいい女の子が津軽手踊りのきれいな着物を着て真っ赤な傘をさしあでやかな笑顔で微笑んでいます。周りの緑と傘の赤のコントラストがひときわ美しさを引き立てています。黒石よされ実行委員会は2016年10月11日この写真を黒石市長賞に決定しカメラマンと写真の本人に伝えようとします。そこでこの女の子が青森市立浪岡中学校2年生の葛西りまさん(13才)と分かります。りまさんはこの写真が撮られた8月15日の10日後に線路に飛び込み自殺していました。原因は「いじめ」です。困惑した実行委員会は遺族の了承があれば良いのではと遺族に受賞の内定を伝えます。遺族は大いに喜び受賞や写真の公表を快諾しました。
そして公表の前日13日夜、いきさつを知った黒石市市長が「そういう子でいいのか。」と疑問を投げかけ、「亡くなった人の写真を審査対象にするべきではない。」となります。コンテストの責任者は内定の取り消しを決め、該当者なしに変更しました。
それを聞いた遺族は「家族みんなで喜んだのに突き落とされた思い。」とこの写真を17日にマスコミに公表しました。そこから日本中が大騒ぎとなりました。なんで取り消すんだ。面倒に巻き込まれたくないとしか思えない。市長はいじめが分かっていない。青森市は知っているのか。などなど取り消した黒石市長に大バッシングが起こりました。そこで一転市長賞に決定し市長が陳謝しました。
この騒動にはたくさんの「もし」が頭をよぎります。もし、この写真が撮られていなかったら、もし、コンテストで最優秀賞に選ばれなかったら、もし、女の子が黒石よされに行っていなかったら・・いじめで自殺という小さなニュースで終わっていたかもしれません。しかしお父さんがマスコミに公表しマスコミが取り上げたことにより、日本で一番有名な写真となり、全国の人が「いじめ」の実態を知ることになりました。
黒石市長は会見で「取り消しは葛西さんの人権に配慮した苦渋の決断だった」と述べましたがお父さんは逆でした。むしろこういうことがあったんだと知ってほしかったのです。いまさら人権と言われてもと思ったかもしれません。子どもの死を無駄にしないためにも二度と起きないよう公表を望んだのです。
いじめは欲求を満たすために起こります。いじめる対象が見つかった時、快感を味わっているだけです。いじめられる人の人格・人権は頭にありません、レイプと同じです。レイプや盗撮が犯人の名前が公表されるのにいじめは犯人がこどものため公表されません。今回の騒動ではっきり分かりました。いじめこそ犯人の名前を公表すべきです。刑法上はおおきな罪ではないけど自殺に追い込まれたら殺人です。教育委員会が悪いとか学校がかくすとか言っている場合ではありません。どんどんネットで公表しましょう。いじめるとこうなるぞと知らしめるのです。今回はお父さんの勇気で遺書も公開され名前は黒塗りされていますが地元の人には分かります。これでいいんです。

これを書いているいまも全国にはいじめで苦しめられている子どもがいっぱいいます。思いっきり犯人の名前を出しましょう。みんながやればできますよ。文部科学省や厚生労働省はこの写真を「いじめをなくそう」キャンペーンや「自殺防止」キャンペーンに使いましょう。AKBのおかしなポスターに5000万円かけているよりはるかにインパクトがありますよ。
2016/10/22
※写真にある文部科学省はこちらで入れました。
※このブログは重い内容でためらいましたが、“いじめはやめて”と訴え、命をかけ犯人と戦った13才の女の子の死を無駄にしないため書くことにしました。ネットには遺書に書かれていた犯人6名の実名がアップされています。
※こちらはYouTubeで見られるりまさんです。昨年優勝した時のものです。第15回青森県ちびっこ手踊り王座決定戦 組踊りの部 優勝
※こちらは写真の衣装と同じ今年のものです。 第16回青森県ちびっこ手踊り王座決定戦 組踊り第3位
追記
※青森市はこのニュースを受けていじめ防止対策委員会を立ち上げ、調査しましたが、いじめが自殺の原因とは報告されませんでした。納得できないお父さんは抗議します。翌2017年4月20日、委員会の委員総入れ替えを行い、新しい対策委員会で再調査します。そして1年3か月後、2018年7月15日、お父さんの葛西剛さんのもとに最終報告書が届きます。その中には「自殺の主な原因はいじめである。」と明記されていました。8月3日のニュースはお父さんが記者会見し報告書の内容を発表、娘の思いが詰まっていると評価、これからも声を上げ続けると誓っていました。事件が起きて2年が経っていました。
学校、教育委員会、青森市、関係者はいじめによる自殺である、と言うのになぜこんなに時間がかかったのか、2年間も戦うことが普通の親にできるだろうか。この記者会見を見たとき、お父さんによくやった、という気持ちと、責任をあいまいにする日本社会の悪い風習、そして連綿と続く引き継ぎ主義をなんとかしなければ、という気持ちが同時に沸きました。お父さん、よく頑張りましたね。

2018/08/04