ボクは雑草です

シフトクリエイティブ社長のブログです。

撤退する勇気~グレートトラバース田中陽希さん~

2014-11-30 19:42:03 | 報道/ニュース
「怖いんで帰ります。山は逃げないといいますから。」田中陽希さんは屋久島からスタート、北海道利尻島まで7800キロを踏破。ゴールの利尻岳山頂付近で風速20m以上の強風が吹き前へ進めません。登ってきた100の山の中ではじめて登山中に避難小屋に入りました。しかし風は強まるばかりです。207日6か月以上に及ぶトラバースの最後のゴール。しかもあと1キロを残し彼は撤退を決断しました。
グレートトラバース田中陽希さんの挑戦は4月1日に屋久島の宮之浦岳からはじめ、自分の足とカヤックだけで日本列島を北上し北海道利尻島の利尻岳まで深田久弥の「日本百名山」を200日ですべて踏破しようとするものでした。その様子をNHKBSで放送。「感動した。」「勇気をもらった。」など登山愛好家のみならず山に登ったことのない人まで大きな反響を呼び夏には多くのファンが山頂で田中陽希さんを待つようになりました。
NHKでは15分のミニ番組と総集編の第一集から第5集までを放送。最終回が昨日放送されました。実はこれは先週22日(土)に放送されていたのですが午後10時08分、長野県北部で震度6弱の地震が発生、放送が地震関連のニュースで中断され昨日もう一度オンエアとなったものでした。ボクはいずれも録画していたのですが、2週がかりでやっとゴールを見ることができました。
それにしてもすごい挑戦でしたね。NHKが番組にすることにより視聴者も田中陽希さんと一緒に登っているような感覚になりました。通常のコースタイムの半分とか3分の1の速さで駆け上がって行く。時には何百キロもある山と山の間を歩く、走る。海はカヤックで渡る。信じられないアンビリバボーの挑戦でした。
6か月以上にも及ぶ挑戦は感動を倍増させます。最初はすごいことをやるな。3か月過ぎた中部地方ではまだやっている。最後の東北から北海道ではいよいよゴールだ。お笑い芸人が仕事で挑戦しているのとは違う真実味が迫ってきました。どんな役者も赤ちゃんと動物にはかなわない。まさに演技ではない真の挑戦にみんなが拍手しました。これからの番組はこれがいい。くだらないバラエティはもういらない。テレビのあり方まで考えさせられる内容のある番組になりましたね。
田中陽希さんのような挑戦をしている人はまだいるはずです。でもテレビなどのメディアに取り上げられなければ残念ならがみんなの知るところとなりません。もっとメディアが積極的に取り上げなければいけませんね。芸能プロダクションから接待を受けて喜んでいるのはもうやめましょう。
田中陽希さんは登山をアドベンチャースポーツに変えました。陽希さんの最後の撤退は多くの人にその手本を示しました。「本当の勇気とはこういうもの。」だってね。田中陽希さん、本当に頑張りましたね。おめでとう!

2014/11/30

翌々日、天気予報により風の弱くなる早朝に再挑戦。登頂に成功しました。撮影クルーにも拍手です。

消費税10%で日本は終わる?

2014-11-01 22:42:22 | 報道/ニュース
昨日の日銀の発表には世界中が驚きました。突然の追加金融緩和で円安は一気に112円台に、株価も800円以上の急騰です。アメリカが金融緩和を止めると発表した直後ですから日本のさらなる金融緩和は誰もが「本当にいいの?」と思い、これがサプライズと騒がれました。日銀の政策決定委員は9人、日銀から3人日銀以外から6人で構成されています。今回の決定には日銀3人民間2人の5人が賛成、民間4人が反対とのこと。通常は総裁の言うとおりでシャンシャンと決まる政策決定に4人もの委員が反対したことはやはり重く、強引な総裁の進め方に疑問を残すものでした。
日本の金融緩和の目的ははっきりしていますね。お金をどんどん出すから企業はどんどんお金を借りて設備投資をガンガンして物をじゃんじゃん作って儲けましょう。そうすれば日本のGDPも伸びて給料は上がるぞ。下げ続けていた物価は上がってデフレからインフレになるぞ。消費税だって上げられるぞ。というものですね。
消費税を上げることが目的ですが、こんな絵に描いた餅のようにうまくいくのでしょうか。答えは経済学者でなくてもNOですね。マネタリーベースを60兆円から80兆円に増やすというのが今回の決定ですが、そのほとんどは銀行が国債を買っているだけです。すでに日銀が保有している国債も200兆円を超えています。これでは国債を増やすだけで中小の一般企業ましてや個人にお金が回ってくることはありません。機関投資家にお金が入るという思惑から株価が上がってひとまず喜んでいるのもつかの間、そのあとにとんでもないツケが回ってきそうですよ。
アメリカのノーベル経済学者ポール・クルーグマンという人が日本の経済政策について猛烈な警鐘を鳴らしています。もともと彼はアベノミクスに賞賛を送っていました。「これで日本がデフレから脱却すれば世界の見本となる。」ところがここへきて「消費税を10%に上げれば日本は完全に終わる。」一体何が彼の思いを変えたのでしょう。
グルーグマンさんの視点は「中国」でした。中国経済の伸びが減速しています。このまま減速がつづけば日本経済への打撃は必至。つまり「中国経済が悪くなれば日本も悪くなる。」この環境の中で消費税を上げればますます消費は冷え込みお金が回らない。お金が回らなくては景気は良くならない。日本は消費税を上げるのではなくむしろ5%や3%に一時的に戻す。このぐらいのことをしないとアベニミクスどころかもっと深刻な不況に落ち入る。と警告しています。
アベノミクスから2年、2%アップの物価目標を立て思い切った金融緩和でお札をじゃぶじゃぶ刷ってきました。が、デフレからの脱却どころか生活用品はむしろ値下がり、それを除いた物価指数でも消費税増税分を差し引けば1%あるかないか、それだってほとんど円安による原材料の輸入コストの上昇分です。つまり日銀の金融緩和ではインフレになっていないのです。空振り三振とはいかないまでも今回の一振りで二振まできました。もう一振りで日本は完全に終わります。
「景気は気から。」というのはアベノミクスの当初のスローガンでした。金融緩和もそのひとつかもしれません。しかし正社員を増やすと言っていた当初の政策がいつのまにか派遣労働者を増やすに変わっています。NHKを取り込んで「安心して働ける。」など派遣労働者のインタビューを放送しています。これで国民の給料があがりますか?これでみんなが物を買って値段が上がりますか?派遣労働者はどこまでも派遣です。退職金はないしボーナスもない、いつも切られるかわからない。そんな労働者を増やして「景気は良くなっている。インフレになる。」これでは素人のボクでも警鐘を鳴らしたくなりますね。
景気が良かった日本を忘れてしまうほどひどい状態が続いています。本当に良くするために国は政策を実行しなくてはなりません。それは大企業や財務省が潤う政策ではなく働く国民のための政策です。金融緩和につられ消費税を上げている場合ではなさそうですよ。

2014/11/01